第62話嘘つき

「嘘?俺は何もあなたに嘘なんてついてないが?」


「私は聞きました!あの女がルーカス様にまとわりついて困ってると嘘で私を誘導した!こんなの認めない!」


サフランはリナを指さし睨みつける、その顔は醜く歪んでいた。


「確かに言った、ある女がルーカスにまとわりつき困っていると…だが俺はあんたの事を言ったつもりだったんだがな…あんたが勝手にリナと勘違いしたんだ…どちらかと言うとリナに付きまとってるのはルーカスの方さ」


シモンのしたり顔にサフランは拳を地面を叩きつけると縋るようにバーンズ侯爵を見上げる。


「そ、その女など知らん…私は関係ない。どうやらその娘は病気のようだな…ある事無い事喚いている…早々に医者に見せた方がいいぞ」


バーンズ侯爵は助けを求めるサフランから顔を逸らした。


「そ、そんなバーンズ侯爵様…私は…私は…」


サフランは唯一味方と思っていたバーンズ侯爵に手を伸ばす。


「やめてくれ…汚れる!」


バーンズは顔を顰めてサフランの手を叩くと一歩下がった。


「うわっ…最悪だなあの侯爵…」


「うちの団長とは偉い違いですね」


バーンズの対応に騎士達は嫌悪感をあらわにその様子を見ていた。


騎士達の視線にバーンズは首を振る。


「知らない、こんなのと一緒にしないでくれ!」


「私があなたにルーカス様達の情報を教えたのに…」


サフランは諦めたのかボソッと答える。


「おや、この娘はあなたが味方だと言ってますが?」


「こんな茶番に付き合っていられるか!?アリス!帰るぞ!」


バーンズはリナからアリスを奪おうとヅカヅカと歩み寄った。


「いや!リナ、ルーカス!助けて!」


アリスはギュッと目をつぶってリナに抱きついた。


「アリス!!当たり前だ!俺はお前の親なんだ!」


ルーカスは上に乗っていた門番達を持ち上げて起き上がった!


そしてそのままバーンズに向かって投げつける!


「ぎゃああ!!」


バーンズは門番達の重さに押しつぶされた。


「くっ…こんな事をして…ただですむと…思うなよ…」


バーンズは下から近づいてきたルーカスやブライアンを見上げた。


「ふん、そんな姿で何を吠える。哀れだな」


ブライアンは笑いながらバーンズを見下ろすと…


「なんだかすごい騒ぎだな…」


「だ、誰だ!?」


呆れる様な言い方にバーンズは声のする方を睨みつけた。


「これはフェニックス王子…」


ブライアン団長は声の主に頭を下げると道を開けた。


「王子?」


バーンズはありえないことばに耳を疑う。


「なぜフェニックス王子がこんなところに…」


信じられないと見上げるが確かにそこにはこの国の第二王子の姿があった…

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