第15話悪夢
ルーカスさんに初めの料理を提供したがどうやら味は大丈夫なようだ。
問題なくパクパクと食べているので嫌いなものはなかったのだろう。
アリスちゃんからは甘い物が好きそうな事を教えてもらったので食後のデザートも用意した。
まぁパンケーキを薄く焼いて重ねて間にクリームを塗ったのにアリスちゃんが果物をのせてくれた手抜きケーキだが、ルーカスさんはすごいと言いながらぺろっと平らげていた。
やはり体が大きいから食べる量もすごい…結構沢山作ったつもりだったが綺麗になくなってしまった。
明日からの食事は量に気をつけた方が良さそうだ。
食べ終えて食器を片ずけると、アリスちゃんが眠そうに目を擦っていた。
今日はたくさん手伝いをしてくれたから疲れたのだろう。
部屋の住みに昼間のうちに取りに行った布団を敷くとアリスちゃんが寝ている時に使っていた布団も隣に重ねる。
「では私達はここで寝ますのでルーカスさんはご自分の部屋を使って下さいね」
「本当にいいのか?」
「もちろんです。ルーカスさん、私はルーカスさんの部下みたいなものなのですから気を使わないで下さい。どんどん命令していいんですからね」
笑ってそう言うと、わかったと真面目な顔で頷いていた。
本当に面白い人だ、雇っている人に気を使うなど…最初はどんな失礼な人かと思っていたが、今はなんだか騙されやすそうでほっとけない気がしてきた。
ルーカスさんは眠そうなアリスちゃんに声をかける。
「アリス、お休み。いい夢を…」
頭を撫でるとアリスちゃんがルーカスさんにギュッと抱きついた…
驚いた顔をしながらも抱き返すとおやすみともう一度言って部屋に行ってしまった。
きっと私に気を使ったんだろう。
私はサッとアリスちゃんの服を着替えさせると、自分も一応部屋の隅で隠れるように着替えた。
そしてそのまま布団に連れていき、寝かしつけた。
アリスちゃんは眠かったこともありすぐに瞼を閉じると寝息が聞こえていた。
可愛い寝顔をみて私は部屋の灯りを消すと自分も心地よい疲れからすぐに眠気が襲ってきて眠りについた。
しかし夜中に誰かのすすり泣く声に気がつき目を開けた。
見ると隣のアリスちゃんが寝ながら泣いている。
その眉間にはシワが寄り苦しそうにしていた。
私はアリスちゃんを引き寄せると抱きしめて背中をリズム良く撫でた。
そして大丈夫、大丈夫だよ…とそっと声をかけてその小さな体に抱えた悪夢ごと抱きしめた。
しばらくするとアリスちゃんは力が抜けてまた寝息が戻ってきた。
私はアリスちゃんを抱きしめたまま再び眠りについた。
朝になり、陽の光が顔に当たって目が覚めた。
隣を見るとアリスちゃんはまだ寝ている。
その顔は夜に見たうなされている顔ではなく穏やかな寝顔だった。
起こさないようにそっと起きると着替えをすませて朝食の準備を始めた。
するとスープの香りにアリスちゃんが鼻をヒクヒクさせて起きてきた。
「アリスちゃんおはよう、起こしちゃったかな?」
気をつけていたがやはり音や香りはどうしょうもない。
しかしアリスちゃんは気にした様子もなく首を振る。
「ふふ、じゃあ着替えちゃえるかな?昨日買った服がもう一着あるからそれにしようか?」
アリスちゃんはうん!と元気よく頷いた。
アリスちゃんはしっかりと一人で着替えようとするが…
「アリスちゃん手伝うよ」
私は後ろのリボンを結んであげてボタンを止めてあげた。
アリスちゃんはそれを申し訳なさそうにしていた。
「アリスちゃん、私のリボンも後ろが難しいの…結んでくれる?」
サッと後ろの紐を解くと後ろを向いてアリスちゃんにお願いした。
「やっぱり見えないから難しいよね、今度からお互いのは協力して結ぶのってどうかな?」
「!!」
アリスちゃんはうん!と頷き紐を結んでくれた。
しかしやはりリボン結びは難しいようで固結びになっているがまぁいいかとそのまま朝食の準備の続きをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます