第10話 Thank you 〜 傍 に 〜
事件は無事に解決し
夕方の茜色の空の下
私達寮生は帰る
「悠菜…ごめんな…」と、竜神君。
「えっ?どうして謝るの?」と、私。
「あんな状況になる前に俺達助けたかったから」
「竜神君…良いんだよ」
「悠菜」
「みんな助けに来てくれたでしょう?」
「……………」
「大事なものは守れたんだから十分!確かに怖かったけど、今こうしていられるのは、みんながいて、そして来てくれたから。みんなのお陰なんだよ」
「悠菜ちゃん…」と、亮平君。
「康介君、竜神君、亮平君、零一君、恭吾君。みんな最強メンバーで揃って私を助けに来てくれたから私がこうしているんだから」
「……………」
「みんなありがとう!」
笑顔でお礼を言った。
「と、言うことで、この話は終わり〜っ!寮まで競争〜っ!!」
「えっ!?」と、亮平君。
「マジかよ!」と、竜神君。
「ありえへん!」と、康介君。
「おいっ!悠菜、ズルしてんじゃないぞ!」と、零一君
「走る意味が分からないんだけど〜?」と、恭吾君。
私達は寮まで競争した。
その結果――――
「康ちゃん速すぎー」と、亮平君。
「本当、早っ!」と、竜神君。
「お前は、チーターか!」と、零一君。
「俺、足には自信あんねん」と、康介君。
「負けた……」と、私。
「悠菜が俺に敵うわけ無いやん!」と、康介君。
「えーーっ!私だって足には自信あるんだけど!」
「自己満足なんちゃうの?」
「違うし!」
私達は騒ぐ中、みんなは、やれやれと言わんばかりに寮の奥へと入って行く。
「はいはい、喧嘩はしないの!」
止めに入る恭吾君。
「悠菜ちゃんは取り敢えず着替えて」
耳元でいう恭吾君。
「…うん…」
私は部屋に行った。
そして着替える。
「あれ?何か入ってる…」
制服のポケットに何か入っている事に気付いた。
「…電話番号…?」
私はベッドに横になる。
「…疲れた…康介君…マジ速すぎ…」
「………………」
私は書かれている番号に電話をしてみた。
「もしもし?」
ドキン
電話口から聞こえるのは男の人の声だ。
「あの…」
「悠菜ちゃん?」
「えっ?誰?」
「さあ…誰でしょう?」
「………………」
「もしかして…恭吾君…?」
「正解!もしもの時に携帯電話入れておいたんだ」
「そっか…」
「大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」
「そっか…それなら良かった」
「うん。じゃあ切るね。電話番号、登録しておくね」
「分かった」
私達は電話を切る。
そして私の部屋を誰かがノックした。
カチャ
ドアを開けると、そこには恭吾君の姿。
ドキン
「…恭吾君…」
私を部屋に押し入れ抱きしめた。
ドキン
「無理しなくても良いから。俺の前では素直になって悠菜」
ドキン
《名前…呼んでくれた》
「恭吾…」
スッと私の両頬を優しく包み込むように触れる。
ドキン
キスされた。
「約束だったから」
「えっ?」
「無事に帰って来れたらキスする約束」
「…そうだね…」
「それじゃ部屋に戻るね」
「…うん…」
私の部屋を出て行き始める恭吾君。
グイッと恭吾君を引き止めた。
「悠菜ちゃん?」
「いて…」
「えっ?」
「傍にいて…恭吾君…」
「悠菜ちゃん…」
「………………」
「…ごめん…やっぱり…大丈夫。引き止めて…ごめ…」
キスされた。
「良いよ。いてあげる。心配掛けたくなくて無理して笑顔つくってたんだね。本当は一人じゃ怖いよね?あんな事あった後なのに…」
私は恭吾君の胸に顔を埋めた。
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