《短編集》隣の席のぷにぷにでフニフニなおっぱいの女子高生がいっつも一人の僕をいじめてくる。
藍坂イツキ
「制服の違う女子高生」
————朝の学校は好きだ。
その理由はいくつかあるが、大きいのは人が少ないからだろう。元々人付き合いが苦手な僕からしてみれば、唯一ゆっくりできる時間で至福のひと時。
家では親が勉強してるか? なんて聞いてくるし、落ち着いて本を読めるのは早朝の教室くらいだった。
「やっぱり、いい」
窓から差し込む陽の光に照らされ、こそばゆい風が教室に吹き込んだ。
「ふぅ……爽快だなぁ……」
こうして、気持ちのいい天候に恵まれながらも本を読むこの瞬間はとても心地がいい。閑散とした教室も凄く綺麗で、普段の活気とは相反している。
——ただ。
そんな平和な毎日が突如として途切れることになる——数日後の朝をこの時の僕はまだ知らないのだろう。
――――――――――――――――――――――——————————————
僕は先日、北海道札幌市の中でもそれなりの進学校である公立札幌第四高校に入学した高校一年生。名前はまだない。
と吾輩は猫ではないのだが、僕なんかの名前を憶えても意味なんてないだろうし、クラスの大半の人には覚えられえてもないから君たちに言うのはやめよう。
察した人もいるかもしれないが普通の陰キャってやつだ。
見た目は中学の頃から変わらず、少しだけ髪が長く、まん丸の黒縁眼鏡を掛けた、所謂昭和に蔓延っているような優等生のような顔立ちをしている。自分からそんなことを言うのは少々くすぐったいが事実だし、中学の友達にはよく言われていたから仕方がない。
「おはようございます……」
入学式やその後の授業も適当にこなし、高校では無事ボッチになった僕であるが——僕はそれを悪いことだとは思ってはいない。
「……」
もちろん、誰もいない。
最高だし、爽快だ。
「——あら、おはよぉ」
ん、あれ?
誰もいないはずなのに、女の子の声が聞こえる。一体全体誰だろう。このクラスに話しかけてくれる女子と言えば……委員長とか先生とか?
いやいやなわけ!
——というか、僕なんかに挨拶する人間なんているわけがない。なぜなら、僕はボッチだから。むしろ、そんな僕が朝、教室に入ってきて挨拶なんてしようものならパンダでも見るような顔で見てくるはずだ。
——それじゃあ、なぜ?
なんとかその理由を求める思考がコンマ1秒ほどの時間で脳を駆け巡ったが————どうにもその理由というものは見つかることはなかった。
「ねぇ、どうしたの?」
「ん、あ……」
「こっち、こないの?」
なんと綺麗な声だろうか。女性の色気がプンプン出ている、それだけのことがたったの一言でよく分かる。ふと顔を上げると見ない顔があった。
「どうしたの?」
「——え」
僕はその瞬間、言葉を失った。
それはなぜか。
明確な理由はない。
ただ、単に。
ただ、目の前に。
漆黒の長髪。真紅の瞳。
そして、大きな胸と小さなお腹。くびれのできた素晴らしいボディが制服の上からでもよく見える。
にやり、と笑みを浮かべ手招きをする。
綺麗で、美しくて、煌びやかな制服の違う女子高生が窓際二列目の最後尾、つまり僕の隣の席に座っていた。
<あとがき>
こんばんは、歩直です。
短編集的な感じで思いついたので書いてみました。いじられる主人公といじめるヒロインJK。そんな二人の甘い日々をよろしくお願いします。不定期更新ですが良かったらフォロー、応援、☆評価お願いします!
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