残業のお返しはお前の涙で

水天使かくと

第1話 頑張るお前は美しい!

「そろそろあいつ終わってるかな? 」


入社5年目の俺は自分の仕事と新人の指導も終え、他部署にいる同期の女子社員のところへ出向いている。


今日は久々に飲みにいく約束の日!


お互いに忙しくなかなかそんな機会はなかったから、俺は久々に羽をのばしストレス発散できるとちょっとテンションがあがっていたのだ!


別に付き合うとかそういう関係ではないが、同期ということもあり、2人切磋琢磨しながら今までやって来たって感じだ。


だからあいつとは気が合うし何でも話せる仲だと思っている。


男とか女とか…そんなんじゃなく…なんていうのか…いわゆる同志だな!


女…としては一見気が強くキャリアウーマンに見せてはいるが意外に繊細で落ち込みやすい性格。1人で業務を抱えることも少なくない…。


胸はそこそこでスレンダーの綺麗系…まあ、そんなとこ…。

といえてしまうほどにお互いのことをわかっている関係なのだ!


たぶん彼女も同じだろう…と思いながらあいつのオフィスにつき姿をさがした。


「お、いたいた!んっ?なんでまだ仕事してんだ?あいつは…。」

彼女の方にゆっくり近づき後ろから…


「おつかれ!」

「きゃ!もうびっくりさせないでよ!」といいつつもまた彼女はパソコンに向かい作業を黙々とこなす。


「もう、おわったの?相変わらずお早いことで!」


「ああ、そうだよ…悪いか…。」


俺は他の社員か帰って空いているデスクの椅子にまたぐように座り、背もたれに腕をおき彼女を眺めるように見ていた。


こうやってみると、こいつも案外綺麗な顔してんのな…。

と彼女の横顔をみながら思った…。


そもそもこんな近くでまじまじとこいつをみることなんてないもんな…。


髪は肩下までの黒髪ロングを1つに束ね、パンツスーツをよくきている。

ちなみに俺はスカートよりパンツスーツのが好みだな!

とくにこいつには合ってる…

なんて考えていると…。


「ねぇ…今日はどうしたの?」


「んっ?お前と飲みにいくのにまってんの?」


彼女の手がピタッと止まりデスク上の卓上カレンダーに目をやる…。


「はっ!」

彼女は目をまんまるくしてゆっくりこっちをみる。


「ごめん!今日だったのすっかり忘れてたー!ほんとごめん…。」

と謝りのポーズ…。


「いいよ…それよりどした?お前が約束忘れるくらいなんて珍しいな。あとこの書類だけだろ?お前なら楽勝だろ?」


彼女は俺のほうに向きをかえ

「これも…。」

と隣のデスクの山積みの書類をみる!


「えっ!これ全部?」


「今日の飲み会は延期だな。良かったら話してみ!」


彼女は大きくため息をついて話し出した…。


「じつは…指導している新人の女の子がケアレスミスが多くて困ってんの。とても一生懸命で悪い娘じゃないんだけどどうしてもミスがなおらなくて…その確認やらフォローやらでこの状態…はぁ…。自分の仕事もあんのにね…。」


「なるほど!そりゃ大変だな…。」

俺は心から同情した…


新人の指導とはとにかく一筋縄ではいかないものである。


「あんたのとこの新人さんはどう?」

「おかげさまで、うちの新人は優秀なもんで!」

「ふーん…よかったわね…。」


「はぁー!とにかく頑張って終わらせますのであなたはお邪魔なのでもう帰ってくださいませ!このお詫びはまたしますので…。」


と妙な敬語で俺を威嚇しまたパソコンに向かう。


俺は邪魔しないようにだまって席をはなれオフィスを出ることにした…。


あれを1人でなんて無理に決まってんだろ…

なんで手伝って…助けて…って可愛くお願いができねぇかな?


ま、それがあいつ…のいいとこでもあんだよな…。


皮肉まじりに敬語でいうあいつをどこか可愛いと思ってしまった俺はいったい…?


とあれこれ考えながら俺はコンビニへと足を運んだ…

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