十五話 グランド・サポーター

 俺の発言に対して周りの女性陣――ルクシアを除いて、からの様々な視線が刺さる。


 不味い事をしたのかと雰囲気を掴みかねていると、隣に座っていたリリアから助け船が貰えた。




「えっと、その、シンさんはあれですよね! すっごい勉強家だから、魔族の事を知りたいだけですよね?」


「そ、そうだ。デリケートな話しだったのなら謝る、すまない」


「それならまぁ……許してやらなくもないわ。知らなかったのならしょうがないもの」




 どうやらラプスウェルは許してくれるようだ。


 結局なにが駄目だったのか分からないまま謝ってしまったけどな。


 するとラプスウェルの態度に笑いながら、イリスが説明してくれた。




「うふふ。魔族の中で尻尾のある種族は、尻尾で愛情表現したりするのよ」


「ほう?」


「だからラプスちゃんは尻尾を触られると恥ずかしくなっちゃうのよね?」


「う、うっさいわね! 別になんとも思わないわよ。でも今日初めて会ったばかりなんだから嫌なのは当然よ」


「まぁそうだな、本当にすまなかった。ある程度経ってから、また改めて聞く事にするよ」


「そうしてよね……って、やる事は決まってるの!?」


「んぐ、おかわり」




 こうして俺はサピエルたちといた頃とは全く違う、姦しくも楽しくて美味しい時間を過ごしたのだった。








 食事も終えて一息入れた辺りで、俺は今日ここに来た目的の提案をする。




「という事で、俺とパーティを組んでクエストを受けてみようか」


「いよいよね」


「はい!」


「わかった」


「頑張りましょうね」




 みんなが各々返事をしてくれたので、俺はパーティ参加の申請をする。


 リーダーであるリリアが受諾してくれたので、俺の所属パーティは空欄から『Gemジェム's Ensembleアンサンブル』へと変わった。




「よし、じゃあよろしく頼む」


「はい!」




 リリアが先程と同様に元気な返事をしてくれた。


 他のみんなはというと、自分たちの身体の……正しくはステータスの変化に戸惑っているようだった。




「あら、これは一体どういう?」


「すごい、強くなった」


「そうね、ステータスが跳ね上がってるわ」




 三人が口々にそう言った為、リリアも自分のステータスを確認していた。


 そしてリリアのステータスもしっかり上がっていたのだろう、驚いた顔で俺を見てきた。




「倍……いや、三倍になってます! 凄い!」


「これは俺のユニークスキル<支援職人グランド・サポーター>の効果だ。とは言っても……俺のステータスも、少し、いや確かにかなり上がっているな」




 俺のステータスもサピエルのところでは見た事のないような数値になっていた。


 自分の『元々のステータス』といえばあまりにもパッとしない数値だった。


 攻撃力300。


 防御力500。


 魔法力300。


 俊敏さ200。


 精々こんなところだ。


 だが俺のユニークスキルはパッシブ発動型のスキル。


 『パーティ内のキャラクター』を対象にされ、その数値を300%上昇させる。


 更に自分のステータスをそれぞれ、パーティ内のステータスから『一番高い数値と同じ』にする。




 俺のステータスは今や。


 攻撃力24000。


 防御力24000。


 魔法力36000。


 俊敏さ12000。


 元々のステータスから考えたら何十倍という数値になっていた。

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