第6話  冬休みとうどん

 僕と結夏が出会って半年と少し。もうすぐ新しい年がやってくる。

 でもその前に。


「冬休みだぁ!家最高だね〜」

「そうか?僕は学校で勉強する方が好きなんだが…」


 家にいると学校がある日よりも勉強時間が減ってしまうし、2週間も休みだと休み癖がつくので僕はあまり冬休みを好いていない。


「なあなあ、結夏は年越しに蕎麦とうどんどっち食べる?」

「蕎麦かな。うどんはあんまし食べたことないのよねー」


 流石お金持ちのお嬢様だ……。

 あんまり人のこと言える立場じゃないけど。


「じゃあ今日スーパー行って年越し蕎麦買うついでにうどん食べにでも行かないか?」

「え!。いいの?」

「あぁ。今日はうどん食べたい気分だったしな」

「うん!じゃあ準備するね!」


 結夏が予想以上に喜んでくれたのでとても嬉しかった。








 私と栄汰は近所のよく来るスーパーで買い物をしていた。

 私が放課後よく買い出しに来る店。


 二人でメモを見ながら買うものを探す。


 デートみたい……。


 胸の鼓動が若干、速くなるのを感じる。


 なに私栄汰なんかにドキドキしてんだろ。


「なぁ、結夏冷蔵庫に牛乳ってあったっけ?」

「ん?、なかった…かも?」


 私達なんか、夫婦みたい…。


「なぁ結夏。顔赤くないか?」

「赤くなんかない!。きゃッ!」

「やっぱりおでこ熱いじゃないか。無理したらダメだぞ」


 栄汰に突然おでこを触られ心拍数が上がる。


「違うの、これはその…暑いから!」

「いやいや、今冬なのに暑いわけないだろ」

「ふん!もういい」


 心配してくれて少し嬉しかった。









 僕たちは予想以上に多く買い物してしまった。

 重たい荷物を持って店内に入るわけにもいかないので一度家に帰り、うどん屋へ行った。


 着いたうどん屋は全国的にも有名なチェーン店。

 僕も小さい頃はよく祖父と行ったものだ。

 祖父はお金持ちで大企業の社長ではあるが庶民的な店にもよく行く。


「すみませーん。かけうどん大ください」

「私も同じので」


 僕はその後さつまいも揚げといなり寿司をトッピングしカウンター席に座った。

 いなり寿司は小さい頃からうどん屋にきたら必ずと言っていいほど選ぶトッピング。


「エビ天5つも食べれるの?」

「わかんない」

「ならなんでうどん大盛りで頼んでんだ」

「同じのくださいって言ったら量まで同じだったの!」


 当たり前だろ、天然か!


 そして僕はうどんを全部完食したが、結夏はというと……。


「なんでエビだけ全部食べてうどん残してんだよ」

「だってお腹いっぱいなんだから仕方ないでしょ」


 じゃあエビ天5つもたのむなよォ…。


「仕方ないなぁ。僕が残りは食べるから」

「うん…」


 僕は結夏が頼んだうどんも完食し、水を飲んだ。


「ねぇ。さっきの間接キスだよね…」

 ブハッ!?

「突然そんなこというんじゃない!」


 結夏め。からかいやがって……。

 ん・・・なんで顔赤いんだよ。


「じゃあ店出よ」

「うん」














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