(10)中年が生徒に?
◇◇◇魔法学園都市・喫茶店◇◇◇
試験を終えた私とイオちゃんは学園都市にある喫茶店にいた。
実にオシャレな内装の喫茶店である、中年にはかなり似合わないのだが、イオちゃんに薦められたのなら断れないので入店した。
ちなみに試合終了後は私とイオちゃん以外あの場にいた面々はみんなあ然としていたよ。
しかし私が直接エーグルを倒してる姿を見た者がいなかったのが悪かった。
ぶっちゃけ、本当に魔法で勝ったの?何か卑怯な真似してんじゃね?って視線を向けてくる教師や生徒さんが結構いたので居心地は悪かったね。
おっと今はイオちゃんとの喫茶店タイムだ、この時間を楽しむ事にしよう。
「流石アオノさんです、あのエーグル先生にあっさり勝てる魔法使いはそういませんよ?」
「ありがとうございます、しかし私は油断した彼のスキを突いただけです。そんな魔法使いらしい戦い方で勝った訳では……」
「そうなんですか?その方法っと言うのを聞きたいですね」
「いいですよ?単純な方法ですから」
あの時勝った方法、それは簡単だ。
エーグルは魔法を目眩ましに私から距離を取り、更に魔法で姿を消して一方的に植物達に攻撃させて私を消耗させようとした。
「しかし私の魔力感知はあのコロシアムくらいの範囲なら、何処に隠れても魔法で姿や魔力を隠蔽しても意味がありません。直ぐに彼の居場所は分かりました、だから後はハイゼルさんが油断するまでしばらく植物達と追いかけっこをして……」
「完全に油断してしまった所を転移魔法で接近し、魔法で仕留めた、ですか?」
「はいっ正解です」
種も何もない、単に彼の戦法は私には無意味だったというだけだ。
相手が悪かったと言うだけの話である。
「エーグル先生の植物魔法は彼の魔法使いとしての全てを込めて編み出した魔法ですから。この敗北で少しは外の魔法使いを認めてくれるとありがたいんですが……」
それはどうかな?彼、人一倍プライド高そうだったし。もしかしたら変にプライドを刺激されたから事で何か変な行動に出ないかと心配な私だ。
「それはあのエーグルと言う男だけの話ではありませんよイオ、この学園都市全体の雰囲気として外から来た魔法使い、つまりご主人様を見下していました、許せません」
「……はいっお詫びのしようもありません、私からはアオノさんの魔法使いとしての実力を見てもらえば全て解決すると思ったのですが」
ユーリだ、彼女は今ビー玉モードだテーブルの上をコロコロしてる。
リエリは別行動中なのである、何でもユーリが言った私をポンコツ魔法使い扱いしてるウワサの出所を探りたいって言ってどっか行った。
やる気に満ちている美人秘書(今は飛ぶビー玉)である。私的にはどうでもいいウワサなんだけどゴーレムの2人からするとほっとけない話らしい。
「すみませんイオさん、いっそ私が初手で派手な魔法で決めてしまえば話は早かったのに…」
「とっとんでもない!アオノさんが自分を良く見せる為に魔法で他者を貶める様な事を嫌う事を知っていた私がちゃんとするべきだったと!」
確かに私は魔法で一方的にボコるのは本当に禄でもない手合いだけと決めている。
それにエーグルにしても最初は小手調べと言った感じだったのでせめて実力を発揮してもらってから倒した方が本人的にもいいと思ったんだ。
「それに試験をする立場としてあんな魔法を使った事はエーグル先生の落ち度です、アオノさんの実力は私が彼らに責任を持って話しますから」
「イオがご主人様を推せば推すほど事態がややこしくなりませんか?」
「ッ!?そっそれは……」
なんてピンポイントで…流石ユーリだな。
「ユーリ、この学園都市の教師も生徒さんも優秀な人達です。きっと直ぐにイオさんの言葉も理解してくれますよ」
「アッアオノさん……はい!きっと試験の結果も合格ですしアオノさんの魔法使いとしての実力を間近で見れば生徒や教師達の意見も変わる事でしょう」
学校の先生かぁ……まさかこの歳での再雇用が魔法学園の先生になるとはなぁ~~。
妄想した事はあったけど、まさにひょうたんから駒ってヤツである。
おっとまだ何も決まった訳じゃないし、ここはあくまで冷静な態度を示そう。
「試験の合否は数日で分かると思います、そして実際に教師として働くにあたりしばらくの間はまずこの学園都市の事を知ってもらう事から始めてもらう事になるかと……」
「この学園都市を知る、それは何をするんですか?」
私の問いにイオちゃんは満面の笑みで答えた。
「もちろん、この学園の生徒になっていただくと言うことです!」
「「…………………………」」
マジか、学園の生徒になるとか半分冗談の妄想だったのにマジか……。
「そして先ずは勉強してる所を見て欲しいので、すみませんがしばらくは私が受け持つ授業を見学と言う形になります」
マジで?イオちゃんと一緒に行動するの?。
マジかって事が多すぎてビックリの中年だ。
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