第2話『生徒になるか先生になるか』
(1)教師か生徒か…
◇◇◇豪華な屋敷・青野の部屋(暫定)◇◇◇
(……そうですか、では後日に私への対応が決まる訳ですね?)
(そうですねっと言っても恐らく今日の会議で話し合いは済んでいるでしょうし、速ければ今日中にでも私に連絡があると思います……)
豪華な屋敷のリビングルームにて中年はイオちゃんと話している。
イオちゃんはこの場にいない、しかし話はしている。
念話だ、魔法によって遠くの人と声を出さないで会話をする魔法である。案外出来る魔法使いは多い魔法である、便利だからだ。
(それとアオノさん、私は久しぶりに学園都市に戻って来たので溜まっている仕事の処理などがありますから今日は学園の方に泊まります)
(分かりました、では他の皆さんにはそう伝えておきますね)
(そうしてくると助かります、ありがとうございますアオノさん、それでは……)
以上。イオちゃんとの念話終了。
今日はイオちゃんはお泊まりで仕事か、我々のパーティーは朝や昼のご飯は好きなときに食べて済ませるのだが、夜ご飯だけは皆集まって食べると言う暗黙のルールがある。
なんかいつの間にかそうなっていたんだ。
ちなみに今日の料理担当はリエリだ、そろそろ夕方くらいなので学園都市の探索を終えて調理に取り掛かる頃かと思われる。
ちなみに食事は
そこが侵入者とかが入らない不可侵領域なので安心してご飯が食べられるのだ、こう言う安心スペースって旅してると本当にありがたいんだよな。
寝るときもモンスターに襲われる心配とか要らない。
何よりその内装が私が前にいた世界で言うところの億ションとか最高級ホテルのそれである。ベッドもふかふか、ダイニングもリビングも広い、個室も広いと言うね………チート魔法万歳ですな。
正直、この豪華な屋敷の個室にも負けてないと自負しているくらい気に入ってるのが魔法部屋と言う魔法である。
「さぁっ!早く掃除を終わらせるのです!」
「ヒィイイーーーーッ!」
ユーリとベーネちゃんだ、何故か屋敷の中庭で雑草抜きをしている。メイド服が汚れるからやめた方が良いと思う。
そうっベーネちゃんのメイド服、最高だよ、ユーリのメイド服と同じデザインだから更に最高ですな。
部屋の窓から2人の様子を見ながら、私はこの学園都市での教師とやらについて考える。
学園……学校かぁ~~。
私の学校での思い出、そんなの何もない。
彼女の1人も作れなかった非モテの青春なんて青い訳ないだろ、灰色だよ灰色。
常に灰が降り積もってる様な時代だった、週刊マンガくらいしか楽しみがなかった高校時代である。
故に私は………悩んでいた。
「正直……教師よりも生徒になりたい」
イオちゃん曰く、この学園都市は大学に近いシステムを採用してるらしい。
自分が必要だと思う授業を選んで受けて単位を取る、そして年齢による入学の制限とかもないらしい。
つまりなろうと思えば中年の私でも学生になれるのだ。魔法の学校で失われた青春を取り戻す、なんて素晴らしい言葉だろうか。
しかし教師と言うのも捨てがたいのも事実だ。
「う~~~ん………これは難しい選択だ」
生徒になって青春を取り戻すか、先生になって美少女だけのハーレムクラスを作るか、それが問題だ。
私が真剣にこれからの人生の岐路について悩んでいると、私の部屋の床に魔法陣が現れた。
これは魔法部屋へ行ける魔法陣だ、私が魔法部屋への出入りを許可した者だけが出したり消したり出来る魔法陣である。
するとその魔法陣から現れたのはリエリだった。
ベーネちゃんとは違い、黒縁メガネとかダサいメガネじゃなく、値が張りそうなシャープなメガネをしている出来る美人秘書がエプロン姿で登場だ。
「ご主人様、シアが料理を手伝うと言うのですが手伝わせた方がよろしいですか?」
シアちゃんは料理の素人、以前は指を包丁で少し切ってたんだよな。屋敷にいないと思ってたら魔法部屋の方に行ってたのか。
「それならシアさんは私が見てましょう」
「ふうっお願いします」
◇◇◇学園・イオの私室◇◇◇
「……二日後ですね?分かりました」
「はいその様に伝えて下さい」
イオが教師としての仕事をこなしていると、部屋にフォリアが現れた。
そして会議にて決まったアオノへの対応とその日程を話す。
二日後、第3魔法実験場にてアオノの魔法使いとしての実力を見せてほしい事とその場での質疑応答で面接を兼ねると言う内容だった。
「分かりました、ではその様にアオノさんには伝えましょう」
「………イオリア、少し良いかしら?」
「?、はいっどうしましたフォリア」
2人は同じエルフの集落の出なのだ。昔からの親友である。
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