名前と誤字
前回の「キラキラネーム」とはちょっと違いますが、名前の話題で思い出した話があります。
まずは私の恥ずかしい思い出です。
大学を卒業して最初に就職した会社、そこで子供さんの個人カードを作る仕事がありました。名簿を見ながら一人ずつ手書きで名前を書いていったんですが、渡す直前でえらい誤字に気がつきました。
「恥子ちゃん」
本当は、
「聡子ちゃん」
なのに、私、こんな誤字を!
いや、渡す前に気がついてよかった。真剣に冷や汗をかきました。もしも私が「聡子ちゃん」の親だったら「なんて間違いしてくれてるんだ」と激怒しますって、この間違い。いや、よかったよかった。
それからもう一つの名前の話ですが、これは、あまりいい話ではありません。子供の頃ご近所だったおばさんから聞いた話ですが、聞いてなんともいえない気持ちになりました。
そのおばさんが病院の受付の仕事をしてる時に、
「加余子ちゃん」
という名前だったのを、おばさんが間違えて、
「加奈子ちゃん」
と診察券に書いたところ、お母さんが「間違えてる」と指摘してきたそうです。
てっきり「奈良の奈」と思ったら「余るの余」です。普通だったら逆の間違いはありそうですが、そうじゃなかった。
そしてお母さんがこう言ったそうです。
「5番目の子(だったか6番目の子だったかも)の子でもうこれ以上子供はいらないので加えて余る子にした」
聞いてショックだったとおばさんが言うのを聞いて、私もショックでした。
昔はよくあったんですよね。子供がたくさん生まれてこれ以上生まれないように「とめ」とか「すえ」とかつけるということ。
それは当時は出産制限できる医療技術もなかったですし、無事に産まれてくるかどうかも、無事に育つかどうかも分からないからできたらできるだけ産んでたから、ということも原因だと思います。
「七歳までは神のうち」
そんな言葉があります。
それは乳幼児の死亡率が高かったことの証明でしょう。私の両親も昔の人だからでしょう、どちらも兄弟姉妹が多く、さらに幼いうちに亡くした兄弟姉妹があります。それも昔はごく普通のことでした。今も世界の他の地域でも、そういうことはあるのが現状ですし、日本においても出産は今でもやっぱり命がけなんだと思います。
そんな中、望まぬ妊娠出産も多くて、そういう名前をつけられる人も多かったんでしょうが、少なくとも「加余子ちゃん」は昭和の子です。親からその由来を聞いたら悲しいだろうなと思うと、なんとも言えない気持ちになりました。逆に誤字で「加えて余る子って失礼」って怒ってほしかったなあ。
それを考えると、色々問題もあるでしょうが、前回書いた「キラキラネーム」も、親の想いがこもってるそっちの名前の方がいいなと思いました。
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