希少姓の良し悪し

 前回、


「日本を佐藤にしてしまえ!」


 との、


「日本佐藤化計画」


 について書きましたが(違う!)、それを書いてる時に、ふと、思い出したことを今回は書こうと思います。


 仕事をしていた時、職場に少し変わった名字の男性がいました。どういう名前かは書けませんが、それまでの人生で会ったことのない名前だったとだけ。

 

 珍しい名前と言ったところ、本人によると、


「神戸では珍しいが(おそらく両親どちらかの故郷の)どこどこではいっぱいいて、◯◯村ってところもあるらしい」


 ということでした。


 昨日から佐藤さんが出てるから、仮に佐藤で話を進めますね。


 つまりこのあたりでは佐藤という名字は珍しいが、その人のいなかに行くと佐藤さんばっかりで、村の名前まで「佐藤村」だということです。そういや地域性ってのもありますよね。


 それにしても珍しいし、珍しい名字が好きな私は「いいなあ」と言ったら、その人はそうじゃないと言うんです。


「けど考えてみ、もしも自分が田中さんで、何か問題が起きて新聞やテレビに名前が出ても、どこの田中はんかいな、で済むけど、自分がそうなった時は一発で自分って分かるから迂闊なことできんやん」


 なるほどと笑ってしまった。


 確かに希少姓の人はそういう可能性もありますね。まあ、名前関係なく悪いことはしないにこしたことはないですが。


 そういやずいぶんと昔、まだ子供の頃だったと思いますが、こんなドラマを見たことがあります。


 主人公は若い女性で、何かは忘れましたがかなり珍しい名字の人です。


「こんな名字いや、絶対普通の目立たない名字の人と結婚するんだ!」


 よく覚えてませんがそんなことを言ってたと思います。


 そしてある男性と知り合い、恋に落ち、結婚しようとなりました。このあたりの話とかは全然覚えてないんですが、とりあえずそういう感じの話です。そしてその段階で思わぬどんでん返しが!


「結婚してください」

「はい」


 てな感じでハッピーエンド、男性の名字は女性がずっと望んでいたごくありふれた名前、


「タカナシさん」


 でした。


 さあ、ここでもう気が付いた方もいらっしゃると思いますが、そう、こういうオチが待ってました。


 この「タカナシさん」の正確な名字は、


「小鳥遊」


 でした。


 知らない方もいらっしゃるかも知れませんので、一応説明を。


「小鳥遊(タカナシ)」


 さんはどうしてこの字でそう読むかと言いますと、


「鷹がいないと小鳥が安心して遊べるから「鷹がなし」でたかなし」


 と読むそうです。


 一体誰がそんなことを思いついたのか分かりませんが、まあ、そういうことだそうです。


 結局ドラマの最後はどうなったかとか覚えていませんが、希少姓の方の中には、


「一般的な名字がいい」


 と、思ってらっしゃる方も結構いらっしゃるようです。


 一般的な姓になりたいと思う希少姓の方と、日本を佐藤で埋め尽くしたい「佐藤同盟」の方が手を組んだら、500年と言わず数十年のうちにも日本は全員佐藤さんになるかも知れない。

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