いそいそいちじく

 暑いし貧しいので買い出しに行っていません。行くとお金も体力も消耗するからです。あっちあちの中で出かけると、実家に行って買った物を片付けた後、さて仕事と思っても、なかなか体も頭も働いてくれないのです。かなり効率が落ちて、仕事や執筆も遅れがち。そして寝る時間も遅くなって、の悪循環になっています。お盆進行もありましたし、遊びにも行きました。


 ということで、


「まだ冷凍室に鶏肉残ってるし、野菜もいただきものやら日持ちするのがあるし」


 と、できるだけそれを使い切る系で今週はがんばりました。もちろん手抜きしながら。


 ですが、朝、パンと一緒に食べる系の野菜がなくなってきたので、それだけを買いに産直スーパーに寄ることにしました。


 お店に入って、


「はうあ!」


 思わず声が出そうになりましたね。


「いちじく箱売り見つけたー!」


 いちじくいちじく、こんな時期だったっけ、箱に入って特売するの。なんか、もっと前な気がして、食べそこねたなと思っていたのです。


「運命の出会い!」


 私はいちじくが大好きです。今までにもこちらで、


「旬の時だけしか」


 というタイトルで、


「冬にもいちじく食べたい」


 などと、欲望全開で書いています。


 今日は最低限、キュウリとかキャベツとかだけ買おうと思ったのに、これは買うでしょ、うん、買うしかない!


 ということで、ホクホクしながら箱を抱えて実家にやってきました。


 うちには以前「ピーちゃん」という鳥がいて、その子がいちじくが大好きだったのです。お仏壇にその子の分も合わせて2個、乗せておきました。


 いちじくにはこんなエピソードがあります。


 高校の時、今の産直スーパーの場所に田んぼを埋め立ててスーパーができました。季節になると、毎日のようにそこで稲の育ち具合を楽しんでいた私にはさびしい出来事でしたが、便利にはなりました。高校3年の7月にぴーちゃんが我が家にやって来たんですが、その後のことで、学校から帰ってのことだと覚えているのでもしかしたら9月ぐらいだったかも知れません。母と歩いてそのスーパーに買物に行ったのです。


「あ、いちじく売っとう」


 いち早く見つけて母に買って買っての視線をうるうると向けたのですが、6個入りぐらいのパックの値段を見て、


「高いなあ」


 と、ちょっと嫌そうな顔をして、それでも1パック買ってくれました。

 

 帰っていちじくを食べようとしたら、ぴーちゃんがこちらを見つめています。


「食べる?」


 と、やってみたら、なんということでしょう、いちじくはピーちゃんの大好物だったのです!


 本で調べたら、確かに好物の中に「木の実」や「果物」がありました。その後、好きな物が色々と分かってくるのですが、まだそれほど知らなくて、好物を一つ知った、そんな感じでした。


 さて、翌日、私が学校から帰ってきて、冷蔵庫の中を見たら、


「なんでいちじく2パック入っとんの……」

「ピーちゃんが好きやから」


 って、母は、我が子のおねだりには1パックを嫌々買ってくれたのに、ピーちゃんのためには2パックも一度に!


 ということで、いちじくの季節になると、その話を持ち出していました。


 今日はいちじくがあるので、がんばってお仕事できそうです。

 いそいそいそいそ……


※近況ノートに写真があります。


https://kakuyomu.jp/users/oguranatuki/news/16817330662633129829

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