裏通りのどろどろ
バブみ道日丿宮組
お題:激しいドロドロ 制限時間:15分
裏通りのどろどろ
ドロドロとした液体が足元を流れてた。
触ってみると粘り強く鼻をつく臭いがする。
色は白、まるでとろろのようだ。
「……?」
その元となったものを見ると、疑問しかわかなかった。
それは男女が全裸で重なったもので、負傷の様子はない。
つまりは傷を負って死んだわけじゃないということだ。
いや……、
「生きてます?」
死んでると断定するのはまだはやい。
どちらかは生きてて、あるいは両方生きてるかもしれない。
この臭いは死者が放つ腐敗臭ではないし。
「……なんです」
液体はなおも吹き出して、ついに足元が真っ白となった。
「う、う……う」
気持ちが悪い。
ただ気持ちが悪かった。
これ以上関わり合いたくないが念のために救急車と警察を呼ぼう。
そうして通路から離れて、本通りに出て現場に戻ると、ドロドロとした液体が残るばかりで人影は消えてた。
なんども説明したけど、誰も信じてはくれなかった。
ただこの液体はなにか関係があるかもしれないと警察が嫌そうな顔をして採取してた。
それが今日の出来事。
話をこの現場に入る前に戻そう。
僕は近くの学校に通う生徒で、そのときも通学途中であった。
友だちは自転車通学とか、バイク通学とか、車による送迎など様々な選択肢から選んでるけど、僕は歩行を選んでた。
親戚のお兄さんが歩かなくなって歩けなくなったのを見てるからだ。
お兄さん的には未練はないらしく、いつもよくわからない話をしてくれる。それはためになることもあったし、聞かなかったらよかったということもあった。
優しいお兄さんは、家族以上に僕を愛してくれた。家族として居場所のない僕に居場所をくれたのもお兄さんだ。
今はお兄さんと一緒に暮らしてる。大好きなお兄さん。
身も心も捧げた唯一の家族。
そんなお兄さんが今日は早く学校に行ったほうがいいといったのが事件の発端となる。
遅ければ通学を優先して裏通りなんて入らなかった。
もっとも鼻が臭いを刺激しなければどっちにしろ入らなかっただろう。
そんなことがあったからか、教室で僕はずっと思考を見たものに支配されてしまった。
教師に怒られてやっと気づくくらいの思考は、はじめてだった。
裏通りのどろどろ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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