とある文字書きの日

バブみ道日丿宮組

お題:日本小説修行 制限時間:15分

とある文字書きの日

 日本は多くの文字データに支配されてる。

 ひらがな・カタカナ・漢字と。

 その言葉を利用して文字を作り、物語ったのが小説。

 これはそんな偉大なものを利用して執筆にあけくれる一人の若者の話……だということはない。

「……あまりいい文字運びじゃないな」

 部屋にあるカレンダーに目を向ける。

 ○がついた日付まで後少ししかない。

 今までのスピードじゃどう考えても完成しない。時間が3倍に増えたとしても厳しいくらいに思える。

 そうだとしても……諦めることはできない。

 待ってくれてる読者のために私は小説を書かなきゃいけない。

 ……とはいったものの、見聞を広める修行と化して世界旅行なんてしなければこんなことにはならなかった。

 いやぁ……あのフルーツ美味しかったよなぁ。また食べたいものだ。

 いっそのこと食レポ風物語にしてみるか?

「んー」

 ないなぁ。文学少女がいきなり食通になるのはおかしい。

 そのための物語構成はあって当然のことで……。

 筆は進まない。担当者の電話を無視するのにも限度がある。次は間違いなく家にやってくる。修羅場は必然。

 でもさ、世界旅行についてきたのはその担当者なんだよね。それでも『楽しんでたよね?』とは口には出せないけど……。

 はーつらい。

 今度は日本各地に旅行してみようかな。

「いけないいけない」

 頭に浮かぶのはいかにしてラクをして楽しむか。ほんと自由だなこの頭。締め切りが近いことあるんだろうな。

 だって終わったときの感触はすごく気持ちいいもの。

 それこそ世界征服なんてしてしまったと感じるくらいに。

「はぁ……」

 世界征服か。

 食べ物で世界を屈服させるのもいいかもしれないな。

「えっと……」

 散らかってる部屋の中からなんとかメモ帳を救出すると、パラパラとめくる。

 そこにはたくさんの食べ物の情報がある。

「アイディアは悪くないと思うけど……短編かな」

 ほんとだったら長編が望ましいのだけど、急にそんなアイディアは湧いてこない。

 ならば……日本各地の名産を作る物語にしてみよう。

 なにをするのか決まったら、あとは頭の従うままに手を動かすだけだ。ここらへんはやっぱこういう仕事してるからなんだろうなと、自画自賛しながら執筆をただ急いだ。

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とある文字書きの日 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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