とある彼女

バブみ道日丿宮組

お題:興奮したあの人 制限時間:15分

とある彼女

 彼女は学校で有名な女学生だ。

 なんでもナンバーワンになりたがる彼女からすれば名誉なのかもしれない。

 僕からでいえば、災厄の中にいるようですごくめんどくさい。

「気にしなきゃいいのに」

「そうはいっても視線が途切れないのは凄く不安になるよ」

 そう彼女と親しくする……たったそれだけで男子からは非難の目を、女子からは天然記念物を見るような視線を受ける。

 慣れるわけがない。僕は一般人、そう普通の人。

「わたしの側にいるって決めたなら覚悟はしてたんでしょ? 大体わたしの側にいるからって変に固くなる必要はないのよ。自然体のあなただから惹かれたのであって、萎縮したあなたも十分可愛いのだけど、普通のあなたのが好きよ」

「ありがとう。そうはいってもね……注目度の限度はあるよね?」

「仕方ないわ。わたしが一番凄いのだもの」

 胸を張る彼女の姿はドヤ顔。

 偉そうな振る舞いであっても賛美を受けるのだから彼女は凄い。僕が同じことをしたら誰も振り向かない。芸能人くらいであればあるかもしれないけど、そもそも芸能人は変装するからわからないか。

 彼女はそういった意味では人からの視線を集める芸能人だ。

 誰もが興奮し、熱狂的になる。身近にいるアイドル。

「そういえば新しい動物園ができるみたいなの」

「そうなんだ。今度行ってみようか?」

 彼女が頬を染めると、静かに頷いた。

 普段から高飛車のような振る舞いをする彼女だけど、可愛い部分はたくさんある。動物が好きといえずに遠くから攻めてくる時はほんとうに可愛い。

「パンダがイチオシの動物らしいの」

「へぇ、パンダか。小学生以来見てないかな」

「そうなの? そういえばあなた帰国子女だったわね」

 うんと頷き、

「小学校だけ外国だね」

「戻りたいとか思ったりしないの?」

 どうしてと首を傾げる。

「だってたくさんいいものが見れるのでしょう? この国はいろいろ遮断されてて残念だわ」

「そうだね。外国にいける人材も制限されてるし、入ってくるのも制限されてる」

「そんななかパンダがくるのだから凄いことだわ」

 彼女はよっぽどパンダに会うのが楽しみらしく、その後もたびたびかぶせるようにパンダって言葉が入ってきた。

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とある彼女 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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