#27 ”花さん”って呼ぶことにするよ
完全スルーの玲ママにプンスカしながらも諦めた玲は、再び消灯し布団に入った。
僕は暗闇のなか、玲ママの意図を考えた。
以前、玲ママ宛の手紙に「まだ若くて綺麗なのだから、もっと幸せになって欲しい」と書いたことがある。
女手一つ、お仕事や玲のことで苦労ばかりの玲ママが、今よりももっと幸せになるべきじゃないかとの思いで、手紙を書いた。
僕なりの照れとユーモアと本音を散りばめた物だったのだが、多分玲ママはそんな僕の気持ちはお見通しだ。
生意気にも大人の女性の気持ちを推察すると
他の子よりもとても手がかかる子供だった玲が、最近はどんどん自立するように変化している。
そろそろ自分も自分のことに手を回しても良いのではないか、再び恋愛を考えても良いのではないか。
僕の手紙を読んでそれに気が付いたのか、それとも僕の真意を読み取って僕を心配させまいと気遣っているのでは無いだろうか。
僕は子供だし当然玲ママの恋愛対象ではない。
それに玲とは相思相愛だと自負している。
だから僕が玲ママのことを”花さん”と名前で呼んだところで何か起きることもないだろう。
問題は玲がどう思うか。
そこまで考えて、そっと玲に語り掛けた。
「玲、起きてる?」
「・・・うん」
「玲ママのお願い通り、これからは”花さん”って呼ぶことにするよ」
「なんで・・・」
「花さんだって女の子だよ。周りからは娘の母親として見られてばかりだから、たまには女の子として見てもらいたいと思うんだよ」
「うん・・・・」
「だから、せめて僕だけでも花さんのことを、女の子として呼ぶことにするよ」
「うんわかった・・・」
「玲、わかってくれてありがとね」
とここまで二人で会話をしていると、寝たふりをしていた花さんが起き上がり今度は僕と玲の間に寝転がり、二人を両脇に抱きしめて「二人ともありがとう」と呟いて、今度は本当に寝息を立て始めた。
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