#14 お世話係は報われる
夜は3人で川の字になって一緒に就寝した。
玲が真ん中で、僕と玲ママが左右に。
玲は直ぐに寝息を立てていたが、僕は少し目が冴えてしまい、暗闇のなかぼーっと今日一日の事を思い返していた。
「ジンくん、起きてる?」
玲ママもまだ眠れないのか、突然話しかけられた。
「はい、起きてます」
「ジンくん、ありがとうね」
「いえ、僕はただのお手伝いで、準備も計画も今日の料理も玲が頑張ったんです」
「ううん、お誕生日のお祝いのことだけじゃなくて、これまでのずっと。
玲が人一倍寂しがり屋で泣き虫なの判ってたのに、おばさんお仕事しなくちゃいけなくて、本当はおばさんが玲の傍に居なくちゃいけないのに、全部ジンくんに押し付けちゃって。
本当はジンくんだって他のお友達と遊びたかったのに、ずっと玲の傍に居てくれて、わたしは母親らしいこと何も出来ていないのに、玲がこんなに良い子に育ったのは全部ジンくんのお蔭。
ジンくんが居てくれたからこんなに幸せで楽しい誕生日が過ごすことが出来たんだよ。本当にありがとうね」
ここまで感謝されると僕は何も返事が出来なくなった。
小さい頃は玲のことを疎ましく思うことは度々あった。
玲が泣き出すとハグして慰めながら本当は僕も泣きたいのに我慢してばかりだった。
でも玲が初めて僕の耳元でお礼の言葉を囁いた時、玲ママに力一杯抱きしめられお礼を言われた時、僕は嬉しかった。
今まで玲のことを思ってしてきたことが全部報われたと思った。
今日の玲ママの言葉もそうだ。
泣いてしまいそうになるほど僕は嬉しい。
僕は暗闇の中、隣で寝息を立てている玲の手をそっと握った。
玲はそれに答えるように僕に抱き着いてきた。
そんな玲の頭を撫でながら、3つ目の試練も成功させるぞと決意を新たにし、眠りについた。
翌朝、朝食は玲が料理した。
お味噌汁と目玉焼き。
目玉焼きはどれも黄身は破れておらず綺麗で、ちょうど良い半熟だった。
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