#10 お料理教室
3つの試練を言い渡してから、1か月が経過した。
1つ目の試練は少しづつ達成に近づいている。
最初、学校の中(全体)で禁止としていたシャツ掴みを、禁止エリアを細かく分けることにした。
例えば、1階の廊下は禁止。それが出来たら、2階の廊下も禁止。更にそれが出来たら、校舎内の廊下では禁止。
他にも、理科室は禁止。それが出来たら、図書室は禁止。と徐々に禁止エリアを広げて、現状では教室以外では僕のシャツを掴まなくなった。
その代わり反動も大きく、教室に入った瞬間ガッチリシャツを掴むし、下校時校舎を出た瞬間ガッチリ手を繋いでくる。
しばらくはこの状態を維持しよう。
これに慣れてくれば、反動も収まり目標も達成出来るだろう。
次に2つ目の試練”読書以外の趣味を見つける”だけれども、実はこれには最初から目途があった。
玲の次なる趣味として、料理を勧めた。
僕自身料理に興味があったし、5年生になってから家庭科の授業が始まり、玲が不器用ながらも一生懸命料理に取り組む姿を見ていたからだ。
だから僕は玲に
「僕と一緒に料理を覚えよう。美味しい料理を作って玲ママに食べさせてあげよう」と言ったら、無言だけど凄い勢いでウンウンと頷いてくれた。
料理の先生として、ウチの母にお願いした。
母もノリノリで僕たちに料理を基本から教えてくれた。
最初は卵料理だった。
目玉焼きとオムレツ。
玲の目玉焼きは、いつも黄身が破れて不格好だった。
玉子が上手く割れず苦労していた。
オムレツは意外にも僕よりも玲の方が焦げ目無く綺麗に焼けていた。
母に言わせると
「ジンは堅物だから。玲ちゃんみたいにふわとろな子じゃないとオムレツはふわとろにならない」とのこと。
んなわけあるか、と心の中で毒づいた。
オムレツが綺麗に焼けなかったことよりも、実の母親に堅物と思われていることのほうがショックだった。
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