#01 脳みそに埋められた爆弾


嬉しい時は、声を出さずに黙って鼻の孔を拡げて鼻息を荒くする。


恥ずかしいと、僕の背中に顔をうずめて隠れる。


怒ったりしたのは見たことが無い。極稀にニコニコの笑顔を見せてくれることはある。


とにかく喋らない。

脳みそに爆弾が埋め込まれて、声を出すと爆発するぞ!と脅されているレベルで喋らない。



そして玲は鈍臭くて手先が不器用。

お遊戯や工作なんか全然上手く出来ない。

常に僕が手とり足とり。自分のことをやりながら玲の世話する。

時には、自分のこと後回しで玲の世話する。


これが当たり前の関係だから、”ありがとう”も”ごめんね”も言われない。言われたことがない。


だって脳みそに爆弾が埋め込まれているから。




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