第8話 金で解決できずに課題が出されたらしい

 なぁ、この課題終わったら公園でバトミントンしない?


 え~、そんな時間あります?


 おいおいラケット持つな、言動と行動があってないな、つかなんでラケット持ってるんだよ、バトミントン部から借りようと思っていたのに


 シャトルないので卵にします


 金持ちの嫌な弊害が垣間見えてるって、食べ物は大切にしろ


 卵はシャトルにならね~よ、とまずツッコむべきでは?


 ツッコミは指摘するな!俺の地位が壊れる


 でも、ほんとに時間ありますかね、こんな量今日中に終わります?真面目にやらないと学校から出れませんよ


 じゃあ、まず漫画をしまってラケットじゃなくてペンを握れ


 なんでですか?父に頼んであなたを社会的に殺しますよ


 闘志むき出しじゃん、その静かな瞳に


 ジョークですよ、面白いでしょ、でも友人にやったら引かれたんですよ


 本当にできるからな、冗談か本当かの区別できないんだろ、お前馬鹿だけど雰囲気が真面目だから。眼鏡かけてるし


 お金払えば笑ってくれますかね


 笑いを金で買おうとしたら芸人失格だよ


 なんでそんな夏目漱石みたいなこと言ってるんですか、それに私芸人じゃなくてQuizKnockのメンバーだし


 ツッコミが全部間違えてる、夏目漱石じゃなくて太宰治だし、お前芸人でもクイズノックのメンバーでもねぇよ、なんで入ってると思ってんだよ、お前とほぼ対義語だろ


 あ~もうやだ、課題やりたくないです


 それはやってから言え、ちょっとしか手に付けてないぞ


 じゃあ、あげますよ、そこ手を付けてないのでとっちゃってください


 そんな、食べ物をあげるみたいに


 やっぱ、体動かしましょうよ、息入れに行きましょうよ


 息抜きな、気合い入れるのは勉強にしろよ


 なんですか、馬鹿が馬鹿に勉強しろって言ってもノーダメージですよ


 そうだな!よし行こう


 やった~


(バトミントン部に頼んで体育館の隅をかしてもらった)


 いくぞ~


 はい、いつでも


 ほい


 えい



(スカッ)空気を切り裂く音が響く



 まぁまぁ、まだ体慣れていませんからね、もう一回お願いします


 そ、そうだな。まったくラケットが機能してない気がするけど、あんなに張り切って下手なわけないよな


 そうですよ、早く次のシャトルを


 なんでストイックで貪欲なんだよ。ほら、いくぞ


 えい



(スカッ)彼女は何も掴まないまま腕を振り落ろした



 ま、まぁまだ二回目ですし、これからですよ


 お前、運動神経もないのか


 ありますよ、ちょっと陸上競技が苦手なだけで


 これは陸上競技じゃねぇよ


 三度目のひねくれ者ですよ次は決めます


 正直な、それじゃあ3度目も成功できねぇよ。いくぞ、ほれ


 えい



(スカッ)



 ラリーはしようぜ、仏の顔も三度までだぞ


 仏の顔はサンドバック?


 それは、釈迦も煩悩まみれで殴りかかってくるぞ


 このラケットが悪いんです、こんな小さいシャトルにこの程度の大きさじゃ当てられないです


 それを楽しむスポーツなの。つかお前が得意なスポーツやろうぜ


 ババ抜き


 スポーツじゃねーよ、しかも二人でやるゲームじゃないな、なんか体動かすことで得意なことないの?


 体は柔らかいですよ


 なんで神様はゴミカス運動神経のこいつに柔軟性を与えたんだ、考え方の柔軟性を与えてくれよ


 失礼ですね、そんなにゆうなら体力測定の数値で勝負しましょうよ


 いいぞ


○握力


12 「左 55 右 52」  レッド「左 2 右 1.5」


○上体起こし


12「40回」       レッド「0回」


○シャトルラン


12「102回」      レッド「4回」


○長座体前屈


12「30㎝」       レッド「102㎝」


○50m走


12「6.5秒」     レッド「13秒」


○ハンドボール投げ


12「35m」       レッド「35㎝」



 おいおい、お前だけ何キロかおもり背負ってやったんか


 くっ、負けました


 なんでこれで勝てると思ってんだよ。握力なんてほぼ視力検査みたいな数値だし、ハンドボール投げに関しては、ハンドボールじゃなくて鉄球投げただろ、単位が違うもん


 私だって力を開放すれば、1.025倍は数値は上がります


 ソシャゲの全体バフ倍率みたいだな、あればうれしいけどそこまで上がらないやつ


 50m走なんて、秒数上がりますよ


 ダメなんだよ、50m走は縮めるもんだから、でも体前屈すげーな


 でしょ、体の柔らかさに関しては自信あります


 こいつに無駄な才覚与えた神は何を考えているんだ


 ほら見てくださいよ、こんなにいくんですよ


 すげー、確かに胸がまったいらで絶壁だから無駄な障害がないな


 えい


 ぐへっ


(ボコッ)先ほどまで空を切り裂いていたラケットとは裏腹に彼女のこぶしは寸分の狂いもなく彼のみぞおちに吸い込まれるように入っていった



(課題は先生と一緒に終わらせた)

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