【有機化学】芳香族の分離(解答・解説編)

【解答】

(1)操作1 アニリン

  操作2 安息香酸

  操作3 フェノール

  操作4 トルエン


(2)操作1 d

  操作2 e

  操作3 c



【解説】

(1)

操作1

強酸なので遊離は起こらない。つまり反応するのは塩基性の物質である。ジエチルエーテルに溶解しているものの中で塩基はアニリンのみ。


操作2

弱酸遊離が起こる。遊離反応はより弱い酸(または塩基)に水素イオン(または水酸化物イオン)を持っている状態を作り出す反応である。炭酸水素ナトリウム中の炭酸よりも強い酸はカルボン酸なので安息香酸が選べる。


操作3

強塩基と反応するので操作1と同様に考えて酸性の物質と反応する。残っているのはトルエンとフェノールなのでフェノールが選べる。


操作4

消去法でトルエンが選べる。トルエンは一定の操作によって分離できるものではない。


(2)

a.酢酸エチルの生成法でエステル化と呼ばれる。濃硫酸を加えて加熱するのは脱水するためである。


b.無水フタル酸の生成法で酸化開裂と呼ばれるものが起こる。


c.フェノールの工業的製法でクメン法と呼ばれる。反応自体はベンゼンとプロペンを化合することでクメンが生成し、その後酸化することでクメンヒドロペルオキシドを経てフェノールとアセトンに分解する。


d.アニリンの生成法で混酸はニトロ化に使われる。ニトロ化するとニトロベンゼンが生成し、スズと濃塩酸でニトロ基を還元してアニリン塩酸塩を作る。その後、弱塩基遊離でアニリンが生成する。


e.安息香酸の生成法でトルエン、ベンズアルデヒドを経て安息香酸が生成する。


f.ベンゼンスルホン酸の生成法でスルホ化と呼ばれる。


g.ナフサのクラッキングではアルカンやアルケン、アルキン、一部芳香族などが得られる。有機化学においての工業的製法の多くはこれである。トルエンはこの方法で作る。

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