入学編

あれからかなりの時間歩き、ちょうど7時頃に学校前についた。

校門の前には気難しそうな面構えをしているおっさん警備員がいる。

僕が校門を引こうと校門のドアノブに触れると痺れるような痛みが右肩に走る。何事かと思い、振り返ると警備員が僕の肩を握り潰すように掴んでいた。

「あの。痛いのですが。普通に犯罪ですよね?離してもらって良いですか?」

僕が睨みながらそう告げるとおっさんは物怖じせずに睨み返してくる。

「黙れ不審者が。制服も着ていない奴が勝手に学校に入ろうとしているんだ、止めてあたりまえだろ?」


「だとしても、暴力以外にいくらでも方法はありますよね?」

なんて、反論すると後ろから笑い声が聞こえてくる。

「そこら辺にしとけー。銀一。今回はお前の負けだ。」

そこには胸元が空いているスーツをセクシーに着こなしている、金髪美女がいた。

「副校長!...じゃなかった。校長!すみません。前校長の件もあったのでつい。」

金髪美女でありなんと、昨日の件で新しい校長になっていた新校長が銀一ことおっさんのおでこにデコピンして、僕に微笑んでくる。

「いやー。すまんね。私の部下が。私は今日からとある事情で新しく校長になったシーナだ。ルーバントくんだよね?よろしく。」

と言い深く頭を下げてくるので、僕もお辞儀し返す。

「いえいえ。こちらこそ急な転校ですみません。制服とか色々足りないんですけど、今日1日大丈夫ですかね?」

「それに関しては、大丈夫だ。新しい教材と制服を用意してあるよ。ただ、サイズ確認の為に今から空き教室で試着してみてくれないか?」

とシーナさんは問いかけてくる。だが、教材や制服を用意して貰えたのは非常に助かった。

「なら、お言葉に甘えて着替えてきますね。」

僕はそう返事をし、空き教室へと案内して貰うのだった。

時間はあっと言う間に経ち8時45分となった。今僕は教室の前にいる。任務達成の為目立ちすぎず目立たなすぎずを目標に学校生活を送るつもりだ。

ただ、僕は今まで殺し屋として16年間人生を過ごしてきたので学校生活は初であり少し不安もあった。

僕は教室のドアをノックし開ける。すると目視で約35人くらいの生徒からの目線が一直線にこちらに向く。

僕は深呼吸をし、話し始める。

「今日からこの学校に転校してきた、ルーバントと申します。まだこの学校についてわからない事が多いですが、自分の出来ることはやっていこうと思いますので、よろしくお願いします。」

すると女子から歓声が沸く。

「えー!ルーバントくんって彼女いるんですか?」

などと不快ではないが初対面には失礼な質問される。

「えーと。いません。」

そう。僕はわりとモテるのだ。だが、嬉しいと思った事は1度もない。何故かと言うと彼女らは僕の能力に引かれているだけで僕自身に興味はないからだ。例えば今この僕に質問してきた黒髪の少女を口説き落として付き合ったとする。今は良かったとしても、もし今後僕の顔に大きな痣がついてもそれでもなお付き合い続けてくれるのだろうか?おそらくそうはならないだろう。なぜなら彼女らが惹かれているのは僕の顔であり僕自身ではないからだ。何より職業柄いつなんど大怪我をおうかわからないので外面だけで判断する人間は僕は苦手だ。

「こーら、初対面で室礼でしょー!」

と僕の心情を察したように僕が殺さなければいけないから相手。シャリーが無礼な女子達を注意する。

「いきなりごめんない!反応的に嫌でしたよね?」

「ありがとうございます。全然大丈夫ですよ。」

と僕は合図ちをうち席に座る。ただ、シャリーは男子から人気なようでシャリーに庇ってもらった僕は男子達からにらまれていた。これは少し悪目立ちをしてしまったかもしれない。なんて、考えつつ僕は担任らしき女の話に耳を傾けるのだった。


それから数時間がたち、休み時間となった。僕は食堂の場所もわからないので、席に適当にすわっているとシャリーが声をかけてくる。

「あのー。ルーバントくん食堂の場所わかりますか?私もルーバントくんと仲良くなりたいので一緒にご飯食べませんか?」

と僕に声をかけてくる。さっきは質問されていたこともあり、あまりシャリーをちゃんと見ていなかったがちゃんと見たらかなりの美少女だった。栗色でロングヘアーの髪の毛に華奢で引き締まっているが柔らかそうな体。パッチリとした目にどこか幼さを感じる童顔。それに大きな胸。こんな美少女はおそらく人生で一回に見るか見ないかだろう。

正直これ以上悪目立ちはしたくないが、彼女の人柄を知ると言う目的の為だったらついていっても良いかも知れない。何故なら僕自身人を殺す事に快感を覚える変態では決してなく、ある目的の為にこの汚れ仕事をしているのでシャリーが善人だった場合仕事を降りようと思っているからだ。僕は少し微笑みながら、頷き呟く。

「なら、お言葉に甘えて。一緒に食べましょう。」

僕は男子からの殺意が籠っている視線を無視しつつ食堂に行くのだった。

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