第7記:台詞

 東京駅を出て、京橋のフィルムセンターへ向かった。観たい作品があるのだった。予報通り、雨が降っていた。濡れた路面はツルツルしていて、非常に歩き辛い。まるで、スケートリンクである。

 センターに着いたのは「12時40分」頃だった。満席ではないが、結構お客さんが入っていた。チケット代は520円。安いものだ。

 第1回の上映が終わったのは「14時30分」頃。俺は一旦センターを離れて、腹ごしらえに向かった。依然として雨が降っている。量が増え、勢いも激しさを増しているような気した。でかめの傘を持参して正解だった。


 しばらく歩道を歩いていると、視界の右手に中華料理屋さん(屋号は『悟空』だったかな?)が現れた。そこに決めて、中に入り、タンメンを頼んだ。なかなか美味しかった。細い麺に、あっさりスープ。俺の好みに合う。

 食後、センターに戻り、再度場内に潜り込んだ。奇声を上げながら、館内をうろついている御仁がいて、ちょっと怖かったが、トラブルが発生するようなことはなかった。もしかすると、退館を促されたのかも知れない。


 帰宅後、ダサクの続きを書いた。魔少年シオールと怪中年トビタツの会話である。最後の台詞が頭に浮かんだ瞬間、この章はいける!と、思った。本当に「いけてる」かどうかは、書き手(俺)にはわからないが、筆の進む方向がはっきりしたことは確かだ。1頁を投稿。その後、ラジオを聴きながら、芋焼酎の白湯割りを呑んだ。酒肴は大蒜の素揚げ、鶏肉の味噌焼きなど。


 翌日(つまり、今日)ラスト2頁を投稿した。第19章は終幕を迎えた。次章は活劇(バイオレンス)篇になる予定である。舞台は当然、怪獣迷路。〔2月21日〕


♞この日に観たのは、多分「三隅研次特集」ではなかったかと思う。三隅監督が撮った必殺シリーズ4作品を上映したのだ。その中にどうしても観たいものがあり、雨の中、上京し、フィルムセンターに足を運んだ。こういう際の情熱は、自分でも驚くほどだ。普段の鈍重さが隠れ、嘘みたいに動きが機敏になる。

フィルムセンターは、今年(2018年)から「国立映画アーカイブ」と名を変えて、多角的な活動を展開している。こういう施設が日本にもあるのだ。アーカイブで映画を観た後、歌舞伎座まで歩き、芝居を鑑賞すれば、一日など「あっ」と云う間に過ぎてしまう。俺が大金持ちなら、この界隈に住むのだが。

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