青梅の呪いと不可触少女の願い

文田かまる

プロローグ


         「あなたの10代の頃の悩みは何でしたか?」


このような質問をされたときどのような返答をするだろうか。勉強ができるようになりたい、友達がもっと欲しい、人間関係を上手にしたいetc...。


このように10代の悩みはかなり深く、そして一人では解決できないもののため悶々と日々を送った人も多いだろう。


しかし考えたことはないだろうか、ある日突然人間関係がうまくなる夢を、急にテストで1位を取った夢を、そんな10代の悩みを解決してくれる神様のような存在を...


これから話すのはそんな悩める少女たちの話、神様に頼ってしまった少女たちの話、神様の力をあまりにも過信していた少女たちの、話。









その話が持ち上がったのは俺、桂壮太が昼食を食べていた時だった。


「ねえ壮ちゃん、梅の祠の神様のうわさってあるでしょ?あれ、マジらしいよ。」

「は?あのおんぼろ祠の?」

「そうそう!あの誰かの願いを忠実にかなえてくれるっていう神様の話!」


と、テンション高めに話を振ってきたのは腐れ縁の相馬湊。オカルト大好き女子高生だが化学部副部長、胸は慎ましいが行動は大胆。「科学とオカルトは共存するんだよ!壮ちゃん!」がモットー


「そんなんデマに決まってるさ、そんなんあったらノーベル賞受賞も億万長者もヨユーじゃねえか。」

「いやいやそれがね、あの神様が叶えてくれる願いってそんな即物的で単純なものじゃないんだって!」


と食い気味に主張してくる湊、その目は獲物を前にした獣のようにギラついていて俺はズササと退「ちゃんと聞け、壮ちゃん!」くこともできず、彼女は俺の肩をがっしりとつかんで神妙な面持ちで語り始める。


「なんとね・・・その神様が叶えてくれる願いっていうのはね、」その表情のあまりの真剣さに俺も思わず唾をのむ。

「思春期の悩み限定なんだって!」


その後、昼食を始めてから初めての沈黙が俺たちに訪れた。そして俺も湊に応えるよ

うにおもむろに口を開いた。


「は、しょーもな( ゚Д゚)」そんな俺の適切なリアクションに対し眼前のコイバナ&


オカルト大好き化学部副部長というと


「はあああああああ!?しょーもな!?なにそれ!?青春舐めてんの!?10代舐めてんじゃねーぞ!」


と、いたくお怒りのようであった。いや、10代に10代舐めんなって言われてもしょうがなくねって思っていたら特にコメントしないのもまた彼女の気に障ったらしく、


「いいもん!そんなこと言う壮ちゃんは梅の祠の神様に呪われればいいんだよ!」

「いや呪うって物騒な、ていうか神様が呪っちゃダメだろ…」


そんなことを言うか言い終わらないかのうちに彼女は去ってしまった。

嘆息する俺であったがこの後嫌というほど思い知らされることになる。願いをかなえる神様のについて・・・




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