ススキの葉で指先を切った。


泣くほど痛いわけじゃない


だけど傷口からじわりと湧く血が気になって


遊びの途中だったけど家に帰る


消毒液を執拗にふりかけ


絆創膏を二重に巻く


それでも、もう気になって気になって遊びには戻れない



コピー紙で指先を切る


泣くほど痛いわけじゃない


傷口からじわりと湧く血を舐めて


仕事を続ける


ときどき痛さに気づいて絆創膏を巻いたが


そのあとはもう気にもならない


ささやかなことながら、大人になった、逞しくなったと思う



そういえばあんなに好きだった彼女


別れが泣くほど痛くて苦しかったあの彼女を


いまはもうほとんど思い出さなくなった


雑に絆創膏の巻かれた指先を見ながら


僕は苦笑いをする

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