美容院・・・・・

 そろそろあの季節がやってきそうだ・・・。そう、「美容院」に行く時が。

 私の髪はなんというか一言で言い表すなら、「ハリーポッター」シリーズの初期のハーマイオニーに似ている。ハーマイオニー は可愛いからどんな髪型でも似合うが、顔と体型はどっちかというとハグリッド寄りな私は自分の髪の毛が割とコンプレックスだ。

 もともと癖っ毛の剛毛なので毎朝ヘアアイロンをあて、髪が黒いと余計暗い人に見えると言われたのを気にして以来、市販のカラー剤で染めている。そのせいかめちゃくちゃ傷んでいる。サラサラ黒髪ストレートに憧れているが、ヘアアイロンをあてたはずなのにすぐボサボサ状態になるので結局ハーフアップに結くことになる。

 私が美容院に行く頻度は3ヶ月に一回程度。美容院、洋服屋さん、スタバ・・・私はキラキラしてオシャレ感漂う雰囲気の場所に行く直前になると緊張でお腹が痛くなる。学生の頃は洋服を自分でお店に買いに行くのが嫌で、姉が選んで買ってきてくれたものをよく着ていたものだ。今はZOZOTOWNやらなんやら通販で買えるようになったので良くなったが、美容院だけは必然的に美容師さんと最低限の会話はしなければいけないので、毎回憂鬱な気分になる。

 今行っているのは近所の歩いて徒歩10分程で行ける小洒落た美容院で、2年前から通っている。オシャレなところが嫌なら千円カットとか入りやすそうな床屋とかにすれば良いじゃないかという意見もあるかもしれないが、そこは謎のちっぽけなプライドとオシャレな美容院ならこの私の初期のハーマイオニー ヘアーをいい感じにしてくれるのでは?という淡い期待を込めて通い続けている。

 まずはじめに美容師さんからどんな感じの髪型にしたいか聞かれるので、毎回「なんか、軽くする感じで・・・・・」というのが私のお決まりのフレーズだ。

 一番の難関の髪を切っもらっている最中の美容師さんとの会話についてだが、正直「長さはこれぐらいでいいか」などの確認をされる程度でプライベートの話をすることなどはほぼない。無言のまま鏡を直視する状況にも耐えられないので寝たふりを決め込む。私の無意識に醸し出してしまう「話しかけんなオーラ」を汲み取った接客スタイルをいつも提供してくれているのだろう、プロフェッショナルだ。

 周りのお客さんをふいに観察してみると仕事の話や話題の映画の話、今読んでいる漫画の話、恋愛話まで楽しげに繰り広げていたりする。すごいコミュニケーション能力だな。

 毎回行く直前はお腹が痛くなるが、行った後の達成感は半端ない。勇気を出して行ってよかったと思えるし、行けたこと自体が成功体験となり自信に繋がる。というわけで今月もホットペッパービューティーから「予約する」ボタンを震えながら押すのであった。


 

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