第11話 「全知」
あちらこちらにぬいぐるみのある女の子の欲しいを詰め込んだようなファンシーなとても広い部屋で、俺は一人話し始めた。
「今回の件ですが、本当に悪気があって『カインド』の名を出したわけではありません。疑われるかもしれませんが、私はカインドに途方に暮れていたと思われるところを助けてもらいました。記憶はありませんが、、。だから、自分の中では、優しい人というイメージでした。」
「ではオルトー様、貴方はカインドにそういうように言われたのですね。」
「………そのとおりです。」
この人、話の理解が早いな。怖いくらい。
「では、カインドにはどのように屋敷に連れて行かれたのですか?」
「えっと、実は目を覚ませる前のことを一切覚えて無くて………」
本当は知っているが、このことは秘密にしなければいけないため、なんとか隠す。すると、
「ふぅーーーん、……………………そうですか。」
と一言発し、俺の周りをスンスン嗅ぎ回る。
ファンシーな部屋で女の子が一人周りの人も気にせず、俺の匂いを嗅ぐ。
このシチュエーションの中で、興奮と理性が戦って凄いことになっている。(語彙力
すると嗅ぐのを辞めて、少し固まり、すぐににっこりと笑った。
「ど、どうしました? 王女様?」
なんかちょっと背徳感があったので、なんかしてしまったのではないかと思い、焦る。
「いえ、大丈夫です。」
俺の理性と心が大丈夫じゃないのですが。
「………シャル、この人たちは大丈夫な人よ。」
「はっ、わかりました!」
「では、貴方の今回の件は、無罪となります、
大変申し訳ございませんでした」
いや、わかれば、ね? いいんよ。
って、めっちゃあっさりじゃん。
「あ、あの…わかってもらえて、うれしいよ、
けどそんなすんなり決めてしまって、文句垂れる
やつはいないんですか?」
「あぁ、そういえば話してなかったな。
王女様は、『全知ゴッド・ブレイン』を
神から賜ったのだ。」
……いくら女の人が言ってても、ぬいぐるみまみれの部屋で痛いこと言うと、まぁまぁやばい人に見えるんだな。
「は、はぁ……」
反応に困るな。
とここで自慢げに語り始めようとしているシャルさんに王女が割り込み、
「はい!私の目は、『真』を感じることができます
たとえば、さっき私が貴方の匂いを嗅いでいたの
も、貴方が本当のことを言っているか、匂いで判断していたのです!私は、五感のどこからでも、その人の全てを知ることができます。そこで失礼ながら、オルトー様を調べさせてもらいました!」
なるほどな、それなら今までの奇行にも納得が
いく。
「そして、貴方を大丈夫な人として認識したので、
無罪と見なしました! 」
そうか、それは良かった。………しかしてことは俺は王女様に助けてもらったのか。
……………なんかラノベの主人公みたいじゃんね。
ニチャア、とにやけていると、
「あの、オルトー様はこれからどこへ向かわれるの
でしょうか? お詫びも兼ねて、できることなら
お手伝いさせていただきます。」
なんて優しいんだ。とオルトーはしみじみ思うのだった。
「えっと、じゃあ俺は『ドューエ・サイド』ってと
ころに行きたくて、あと………ウインドはどこへ
行きたいんだ?」
するとずっと下向いてたウインドが、あ……と一言放った後、
「僕は向かうのも修行だと思うので、助けはいらないです!」
と、逞しいことを言う。
かっけーなーとは思いつつも、絶対にやってもらえることはやってもらう、『ヒモ男主義』の俺は、
頼ろう、としか思えなかった。
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