第10話 謁見

俺たちは、無駄に広い城内を曲がって曲がって曲がって、玉座の方まで歩いて行った。そして、大きな

踊り場にでて、いつだか見たような大きな扉の前まで行く。ここに着くまでは、堅牢な城というような石壁で、重厚感があったのに、ここは謎にファンシーだ。


「この先に、王様と、王女様がいらっしゃる。

 くれぐれも下手な行動は取るなよ。いいか、

 絶対だぞ!」


芦毛ちゃんがこそこそ話なのに、めちゃくちゃ威圧感のある話し方で、注意してくる。

いくら俺でも、そんなに常識がないわけじゃない。


「あぁ、任しとけって!俺にだって常識がある!」


「それが信用できないんだ!いいか?御託はいい

 から、行動で示せ!」


そんなこんなでうだうだやってると、流石に

部屋の中にまで聞こえていたらしく、部屋の中から、


「あの………その声はシャルですか?

 あと、例のお客様?、中へ入っていただいても?」



「………」


思わずみんな黙り込む。

しかし、オルトーは考える。

(このままじゃあ、無視になっちゃうな)


「お、おうよ!今行くぜ!」


すると、向こうから、


「は、はい!お願いします、、、」


と、聞こえた。


「ふっ、危なかったな、、お礼してくれてもいいん

 だけど?、、、おい、どうした?」


自分は結構人としていいことをしたと思ったのだが、


「、、っ、、っ、」


お?どうした、声になってないぞ?もしかして、

俺の行動に感動しちまったか?


「っ、っ、ったくお前は、、、馬鹿野郎!!!!」


「ぴぃ!」


「なんてことをしてくれるんだ!王家の方々にため

 口だと?やっぱりお前反逆者か?よーしわかっ

 た。今ここで!処刑してやろう!こんなやつを

 王家の方々の目に入れてしまっては大変だ!

 ほら!頭向けろ!ほら!ほら!はーやーくー!」


「ち、ちがっ、俺は善意で、、、」


「そういう自分勝手な優しさで行動するところも、

 カインドそっくりだな!わかった。

  早く頭向けんかい!      」



「なんにもわかってない!やめて!死にたくない!

 お、おい!ウインド!相棒!助けて!、、

 おい、どうした?返事してくれよ!」



ウインドはそっぽを向いている。


「貴様の相棒も愛想をつかしたらしいな!

 よおし、早く死すべし!」


「ぎゃああああ!!!!!助けてぇ!神様ー!」


終わったと思った。が、急に扉ががちゃんと開いて、


「待ちなさい!シャル!なぜその子を殺すの? 

 悪いことしてないじゃない!」


「しかし、こいつは貴女にタメ口を、」


「何言ってるの!私の返事に反応してくれたのは、

 このお城で生きてきて、彼一人よ!それに、

 彼からは『悪意』を感じないわ!だから剣をお

 さめなさい!」


「う、うぅ、、すみませんん、、」


彼女もここまで怒られたのは初めてなのだろうか。

半泣きになっている。

かくいう俺は、初めて理解してもらえたみたいで、

なんか嬉しかった。


「とりあえず、皆さま、部屋の中へどうぞ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「先程は申し訳ありませんでした!王家の私があの

 ように怒鳴ってしまい、、、、。」


「いや、こちらこそ粗相をして、すみませんでし

 た。」


「「………………………」」


だんまりとした時間が過ぎていく。と、そこへ、



「仲直りは済んだかの?」


と、後ろから、声が聞こえて、そっちをみてみると、なんかきらきらしているおじいさんが、ニコニコこちらを見ていた。


「はい、お父様、お時間をとらせてしまい、申し訳

 ありませんでした。」


「自分もすみません。」


「まぁまぁ、そう謝ってばかりではいけないぞい。

 楽しく、の?」


「はい!」


なんだこの優しいパパは。

王女様のお父さんってことは、この人が王様か。


……この人達なら、話が通じるかもしれない。


「あの、すみません、一つ発言いいですか?」


慣れない丁寧語?で話す。この場では、謙譲語が適当かもしれないが、あいにく、その話し方はコミュ障は会得していない。


「うむ、良いぞ。」


「それでは、ひとつ話したいことが。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る