1章 転移

第1話 言語オタク、過去転移する


気がつくと、ワラの上に寝ていた。

ここは、恐らくベッドのようだ。


「ん、頭いてぇ、、ここはどこだ?」


しばらくボーッとしていると、ドタドタ!っと音がして、このドアのない部屋に1人、おじいちゃんが入ってくる。


「おぉ、目覚めたようでよかった、、、、気分は大丈夫ですかな?」


オルトーはたくさん疑問があったが、とりあえず今の状況を知ろうと試みる。


「す、すみません、、ここは何処でしょうか?」


「何処って、、、そりゃあ、我々人族が支配する、

 大和島ですよ。貴方も人なら、分かるとおもいますが、、」


おじいちゃんは、俺を疑い深く観察してくる。 

俺はとっさに


「すみません、俺、色々忘れてるみたいで、、、」


とごまかす。ちと無理矢理な方法かとおもったが、

おじいちゃんは、


「お、そうでしたか。冷静に考えれば、人族が人族を知らないのはおかしいですよね。」


と、そっちで、考えをまとめてくれたようだ。


取り敢えず、何があったかを出来るだけ思い出す。

そして、記憶を漁っているうちに、カルアの言葉を思い出す。

「とりあえず、貴方は向こうでもオルトーと名乗りなさい。そして、人族の言葉は自動翻訳されるようにしといてあげるわ。」


(人族、か、、てことは、他の種族もいるってことだよなぁ、、)


「あの、この辺に、他の種族っていますか?」

ふと気になり、聞いてみる。


「いや、ここは孤島でございますゆえ、基本的に

 人族しか、いません。あ、植物はありますよ。」


そうなのか、少し残念ではあるな。気になったのだが、、、


「あ、ですがこの島から出れば沢山の種族がいますよ。もし気になるなら、出て行くのもいいと思います。まぁ、あの種族たちに会うのはおすすめできませんが、、、」


おじいちゃんが、なにかを濁してはなす。


「おすすめできない理由って、なんですか?」


「うーむ、少し長くなりますが、、そうですね、

 いいですか、我々知能をもつ上位種族には昆虫や、草花にはない『スキル』をもっています。このスキルというのは種族ごとに決まっていて、例えば身近な種族だと、人魚族は、『惑いの歌』(コンフュージョン・ソング)とか、獣人族は、モチーフによって違いますが、基本は『身体強化』とか、

各々スキルを生まれつき持っています。例外もいるらしいですが、、、」


「てことは、人族にもスキルがあるんですか?」


「はい、一応ございます。その固有スキル名は

 『生存本能』(サバイバルインスティンクス)

どの種族とも子供が作れるというスキルです。」


「それって、使えますか?」


「はい、要は、魚の卵と人の精子で受精させれば、人魚族が。獣の卵子と受精させれば、獣人族が、生まれます。」


「それってめちゃくちゃ強いんじゃ、」


「はい、勿論兵器としても作ることができるのです。しかし、この受精で生まれた子供はほとんどが

何かしらの縛りを持って生まれてきます。」


「その縛りとは、何があるんですか?」


「さぁ、そこまではわかりません、、」


流石に国家機密のようだ、公になると不味そうだもんな、、、、え?なんでこのおじいちゃんそこまで知ってんの?


「しかし、人族も、これだけでは他の種族と渡り合えないと、長年研究し、(人工スキル)というものを生み出しました。それが、魔術です。」


「なっ、なんと!」


魔術、、本読みなら、一度は憧れる言葉に俺は興奮していた。


「しかしそれは半分失敗に終わりました。専用の帽子を被り使用するものでしたが、人族では、その魔術を発動するまでに脳が耐えきれませんでした。大和王国が、魔術を人々に使わせたところ、魔術を使えたもの、詠唱途中で脳が破裂したもの、魔術はつかえたものの、その後倒れ起きなくなってしまったもの。これにより、人口が大幅に減りました。そしてそれ以前に、詠唱が長く他の種族には太刀打ちできないものでした。」


「てことは、その魔術はもう使われてないってことですか、、」


「いえ、今でも使われています。もちろん、例外というのはどこにでもいますから、」


「それをくわしく、、!うぅ、、」


そこを詳しく聞こうとした。が、それは頭痛によって失敗に終わった。


「ここら辺で話は終わりにしましょう。。。

もう一度いいますが、外はとても危険です。

しかし、行きたい理由があるならば、私は止めません。よくお考えください。」


そういうと、おじいちゃんはどこかへ行ってしまい、また6畳くらいの部屋で1人になってしまった。

危険がいっぱい、、、、しかし、俺には行かなきゃいけない理由がある。んんん、、、、、


悶々とした気分で寝るオルトーであった。

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