引きこもりの天才言語研究者〜過去へ転生してセカンドライフを満喫する〜
雷麦
プロローグ
プロローグ 俺が過去転移することになったワケ 前編
「……今日も大量に送られてきたなぁ」
大都市の少し外れた薄暗い建物の並んだ町のどこかで、そんな声が聞こえる。
彼はオルトー。言語研究者をやっている。
この世界は貧民に対する扱いが悪い。よって研究者になれるのは一部の貴族のみであったが、そんな中でも彼は頭脳ひとつで特例採用された元貧民である。彼はいわゆる天才であった。
そんな彼はため息をつきつつも、仕事を始める。
ここは、言語研究所。この世界で解明されていない、又はわからない言語を翻訳して持ち主に返すという活動をしている研究所だ。
ここには、毎日大量の本が送られてくる。
本当は有償で依頼され、依頼された本を研究、翻訳するのだが、もちろん、この世界にも貧富の差がある。
そのため、貧困層の人々の中には、家に伝わる本を無償で翻訳してもらい、その内容で、一攫千金を目指す者が後を絶たない。
俺の仕事は、そんな送られてきた本を無償でこっそり翻訳し、持ち主に翻訳した文を送る代わりに、その本を貰うという仕事である。
なんでそんなことをしているかというと、俺は正直この世界は差別が常識化していて、貧困層はどうがんばっても、貴族層には財産面で勝てない。俺はそんなクソみたいな制度が嫌いだった。
だから、貧困の人から貰った本を無償で解読しているわけだ。
しかし、俺も人間である。ずっとこの仕事をやってきて歳も取り、周りから見れば汚れた白衣を着た4.50歳の不潔なおっさんである。体も思うように動かなくなり、正直このほぼボランティアの活動に嫌気がさしてきていた。
「はぁ、今日もやるか、、」
俺は、今日も机に向かい、文字を解読し始める
最初の3冊ほどは、すぐに言葉の規則性を見つけ、解読することに成功した。
次に4冊目に取り掛かる。
それは本というものにしては薄く、文字も少なかった。
しかし、オルトーは苦戦していた。
全く規則性の無い文字、独特の形、というか殴り書きされたような文字の書き方。
…………結局、夜になっても、一つも進まず、オルトーは寝てしまっていた。
「……オ……トー、、
…ルトー! 、、オルトー!!!!」
「ん、、? なんだ?」
「オルトー、突然でごめんなさい、私は書物の神よ。」
目が覚めると、どこを見ても目が眩むような真っ白な世界にいた。そして、目の前に薄いクリーム色の髪をした身長が170くらいあり、胸が大な
女の人がいる。
「………ん? ………あ! なんだ、、夢の中か、最近疲れてんなぁ、、、変な夢、、おやs(((ちょっと待って!!!!
よく理解できず、現実逃避しようとした俺に彼女は焦って俺を起こす。
「な、なんだよう、うるさいなぁ、」
俺は、すこし不機嫌だった。今日はさまざまなストレスで、心身ともに疲弊していた。
「明日もあの忌々しい、薄い本を解読しなきゃなんだ、、、寝かせてくれ、、、」
「………それってエッチなやつ?」
「な訳ねえだろ!!!! 仕事だぞ、ばかにしてんのか! 」
「んな"、私これでも神よぉ? って、仕事でやってる薄い本てこれ?」
書物の神らしい女は、あの薄い本をどこからか出した。
「そう! それだよ! あんのやろう、タイトルの無い表紙、きったねぇ文字、どうしようもねぇ汚れ、、、それだけじゃねぇ、あれも、これも………………」
ブツブツと愚痴り始めたオルトーを見た彼女は少し考えたのち、一言、放った。
「もう! わかったわ! その本の文字をすべて頭にインプットしてやるわよ! ほら、頭向けて!」
「……何言ってんだ? 神神詐欺が」
「神を詐欺みたいに呼んでんじゃないわよ!てか早くこっち向けろ!」
女は、バレーボールのように俺の頭を掴み、もう片方の手を頭の上にかざす。
「何しやg
「書物の神、カルアの名の下にこの男、オルトーに万物の叡智、与えん」
俺が逃げようと試みたのと、カルアと名乗る女が、言葉を唱えたのは、ほぼ同時の出来事であった。
「うっ、、、」
オルトーが倒れる。
「全く、依頼主が言語研究者に言語を教えてあげちゃったら、依頼の意味がなくなっちゃうわ…………待ってるわ、オルトー」
カルアは、静かに微笑んだ。
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