彼女にあっさり捨てられたら、S級美少女と同棲することになりました。

78姉さん

第1話 愛は儚く突然に

朝7時起床。8時までには支度を済ませ、朝ごはんを食べ、約束の時間10分前には到着できるように俺は家を出た。


今日の東京を一言で表すととにかく暑い。朝のニュースでは今年一番の暑さとかなんとか

言ってたし、折角先輩と会えるのにこの暑さはないよな〜。心の中で愚痴を零しながらも目的地へと向かった。

先輩とは付き合って1ヶ月ちょいの関係。田舎から上京してきた俺をよく可愛がってくれている。しかも美人。こんな夢見たいな生活本当にあっていいのかそう思っているくらいだ。

だが、俺の目の前には信じがたい光景が写っていた。たしかに見えた。先輩とイケメンが二人仲良く歩いてるところを。俺はすぐ様駆け寄り先輩を問いただした。


「先輩!どういうことですか⁉︎てか、誰ですかこの男!俺と付き合ってたんじゃなかったんですか⁉︎」

「私の彼氏♡橋本隼人って知ってるでしょ?雑誌の表紙に乗っちゃうくらいイケメンなんだから〜。後さっきから何を言っているの?まさか本気で信じてたの?あんなの冗談に決まっているじゃない笑所詮遊びよ、あ・そ・び♡あんたみたいなのと私が釣り合う訳ないじゃない」

「そんなことよりも隼人早くいきましょ♡私新しいバックが欲しいなぁ〜。」


夢のような世界が一瞬で崩れ落ちる瞬間だった。勿論先輩に浮気されて悲しみや怒りの感情で押し潰されそうだけど、それよりも、先輩にあんな風に見られてて、少しでも浮ついてた自分が情けなかった。俺はこの瞬間ここに誓った。いつか先輩を虜にするからいの男になってやる。絶対に。 


しかし、浮気されていたショックはその時思っていたよりも大きく、帰り道の足取りは自然と重かった。しかも、雨まで降ってきやがった。泣きっ面に蜂とはこういうことだろう。しばらく歩いていると、家の近くの公園で雨の中傘もささずにポケーっとブランコに座り込んでいる女の子を見つけた。声をかけるか迷ったが、あのままだと風邪を引きそうなので声をかけてあげた。


「おい、そんなとこで何してんだよ。風邪引くぞ。」

「ほっといてよ。」

怒りの感情を心の奥に押し込んでもう一度声をかけた。

「とりあえず、なんでこんなとこいんだよ」

「、、、、喧嘩、、、、」

「誰と?」

「、、、彼氏と、、、」

「なぜ?」

「、、あいつ浮気してたの、、」

こいつ俺と同じ辛さを感じてるんだな、、、。俺はこの子を助けになってやりたい。そう思った。

「とにかく、こんなとこずっといたら二人とも風邪ひいちまう。この近くに俺の家がある。そこで詳しく話そう。」

てか、俺サラッとこんなこと言ってるけど言ってることヤバくないか。先輩ですら家にまだ来てもらったことなかったのに初対面の女の子家に誘おうとしてるってことでしょ。嫌われたかな、、、。

「うんわかった」

あれれれれ?以外と抵抗ない感じ?この子の親でもないけど、俺はこの子の未来が少し心配になった。


家についてからとりあえずあの子は風呂に入れさせて、俺はソファーに倒れ込んでいた。浮気された挙句貶されて俺のメンタルはボロボロ。それでもいつか見返してやる。

しばらくしてからあの子が風呂場から出てきた。俺は驚いた。さっきまでは髪で見えなかった顔立ちは出会った中で一番可愛かった。思わず見惚れてしまった。


「話をする前にご飯食べないか?俺もうお腹ペコペコなんだよ。お前も食うか?」

「うん」

俺は昨日の余りのカレーライスを皿にすくい、彼女に差し出した。

「ほら、余り物でよかったら食え」

余程お腹が空いていたんだろうか、皿に盛ってあったカレーライスはほんの数分で無くなり、おかわりもしていた。

「さっきの続きをしよう」

「私、、田舎から上京してからすぐに大学の先輩と付き合うことになったの。私は彼のことが好きだったし、彼もそうだと思ってた。今日はデートの約束があって、結構オシャレして向かったの。そしたら、お前なんか遊びで付き合ってただけだ。勘違いすんな。とか言われて、挙句の果てにはお前顔はいいけどそっけないんだよなぁ〜。とか言われて。ほんと悔しくてさ。」

彼女の瞳からは大粒の涙が今降っている雨のようにボタボタと床に落ちた。

「俺もさ、今日さ彼女とデートだったんだけど、お前みたいに浮気されててさ、しかも貶されて俺も本当に悔しかった。だからお前の気持ち分かるよ。悔しいよな。」

少しの間俺たちは互いの傷ついた心を慰めあった。

「あのクソ隼人」

彼女の愚痴の中に出てきた人物に俺は聴き覚えがあった。んーあっ、思い出した。

「おい、その隼人って橋本隼人のことか?」

「なんで知ってるの⁉︎」

「だって俺の彼女の浮気相手だから、、、」

「てことは私たちは浮気相手の彼氏、彼女ってこと?」

「うん、そういうことになると思う。」

二人とも黙り込んで、場の空気が固まった。そこで俺は一つの考えを思いついた。

「俺の勝手な提案なんだが、嫌なら嫌って言ってもいいぞ。」

「嫌だ」

えっ、そこはさー話ぐらい聞いてくれよ。心が傷ついたぞ!

「仕切り直して、俺たち偽のカップルにならないか。あくまで目的はお互いに浮気してきたあいつらを見返すこと。それができるまで二人で色々とアドバイスし合わないか?」

「確かにそれならあのクソ隼人を見返せるかも。分かった。いいよ。あ、でも私家ないからここに居させてね。」

うん、分かったぞって、、、え?家がない?ってことは同棲?でも俺から提案したんだ。しょうがない。

でも、こんな美少女と同棲、、、。ヤバイ捕まる!あくまで先輩を見返すことそれだけを考えろ!如何わしいことなんて考えるな!


俺たち偽カップルの同棲生活がスタートした。








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