第2話:ナナミの登場
「マジで。また黒髪じゃん。この国どれだけ貧乏な人多いのよ」
その女の子はそんなことを言い出す。それよりも服を着ろと思い、俺は彼女を
見ないように慌てて布団を渡す。
「何よ。まぁいいわ。さっきの気持ち悪いおっさんなんか鼻息荒くして早く課金するから、早く……頼むって言ってきたしこいつもチョロそうだし?」
俺を見下すように見ているが、ちゃっかり渡された布団を巻き付けているということは、自分が裸だということは理解しているらしい。それにしても、なぜこんなことになった。俺は全く意味が分からない。ポカンと口が開いたままだった。
「あの……」
「なに? お兄ちゃん?」
さっきまでの口の悪さからは真逆の態度に俺は逆に恐怖を覚えてしまう。
この話し方は……まさかかの有名なツンデレ妹キャラとかいうやつだろうか。
ゲームってまさかエロゲーなのか?
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。ナナミと一緒にあそぼうよ。今なら課金なしでナナミのこのダイナマイトな胸を触らせてあげてもいいよ?」
やばい。これはやはりエロゲーしかもR18のやつなのかもしれない。
とりあえず、状況を一度整理するために確認することにした。
「えっ……俺一人っ子だけど……」
「えへへ。お兄ちゃんって面白いんだね。こんなかわいいナナミがいて、なおかつ私の胸に反応しないなんてあんたそれでも男? 機能不全なんじゃない?」
「いやっ、違うっ。俺は正常だよ。ってなぜお前にそんなこと言われなきゃいけねぇんだよ」
「だって、普通は抱き着きに着たり、『本物かわからないから触らせろ』とか言ってあの手この手で私の体を撫でまくる人が多いんだよ?」
「そうなんだ……今更だけど念のために確認しておくんだがもうゲームって始まってたりする?」
「おそっ。今頃気付いたの? さっさと課金しなさいよ。何? やっぱりやらせてくれないと払わないとか言い出すタイプなの?」
俺はショックを受けていた。てっきりバトル系のゲームを想像していたのだが、まさかエロゲ、しかも、R18だなんて……そっちには興味なくてやったことがない。これはまずい。
クリアできる気がしねぇとただただ混乱するばかりだった。
「何固まちゃって。まさか童貞とか言うんじゃないでしょうね。まぁナナミにかかればそっちの方が楽勝だから都合がいいけど」
「違う!! 俺は童貞じゃない。てか一回話し合おう」
「話し合う必要はないわ」
ナナミはそう言うと、被っていた布団を高く投げて俺のズボンを瞬殺で脱がす。
俺はいきなりの出来事に仰天してしまう。
「おいっ、待て。早まるな」
「早まるわよ。私がこの世界でいられるのは1カ月と決まっているのよ。課金させることができなかったら私は自分の世界に帰れなくなって消えてしまうもの」
「どんな世界なんだよ」
「課金の世界よ。無課金の奴らから金を出させることを目的とした集団よ」
「なんだよ。課金するかしないかはそんなの俺の勝手だろう。誰にも迷惑をかけていない」
「かけているわよ。ゲームを作った人たちに」
「はぁ? 意味わかんねぇ」
「そんなことはどうでもいいのよ。さっさと果ててナナミにあんなことやこんなことしてほしいとお願いしなさい。課金してくれたら何でもしてあげるわよ」
ボクサーパンツを脱がせようとしながら、上目遣いで仮にもゲームとはいえ美女の誘惑に思わず生唾を飲んでしまった俺だった。
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