044 夢幻ダンジョン攻略開始
「ふぅ〜、朝か……寝てる間も襲撃を警戒していたせいで、あまり疲れが取れなかったな」
パンッと頬を叩いて気合を入れると、俺は宿を出て夢幻ダンジョンに向かう。
「お、あれは昨日通った門だな。……あの人影はもしかして昨日の連中なのか?」
漆黒の終焉とかいう冒険者集団だったか。その仲間が門を見張っているようだ。早朝で霧が出ている為、こちらには気づいていない。
こっそりと移動して見つからないように進もう。
――街中を見張っている漆黒の終焉を回避しながら、夢幻ダンジョンの入り口にたどり着いた。
そこには疲れ果てたように座り込む冒険者、ボロボロの装備を悲しそうに眺める冒険者達が居た。俺はその横を通り過ぎようとすると座り込んでいた冒険者に声をかけられた。
「あ、あんたソロなのか? 」
「ソロだが、俺になにか用か?」
「夢幻ダンジョンに入るのはやめておけ。自殺行為だぞ」
「無理だと思ったらすぐに引き返せば問題ないだろう」
「そういう問題じゃない。周りの冒険者を見ろ。装備もボロボロだろう。外まで逃げ切れた奴らは幸運だ。ここに居る奴らとは比較にならない数の冒険者が中で犠牲になったんだぞ」
夢幻ダンジョンの攻略はそう簡単ではなさそうだ。
「そうか。だが、俺にはレベル上げが必要なんだ。忠告だけありがたく受け取っておこう」
「そこまで言うのなら好きにしろ……」
座り込んでいる冒険者との会話を終えて、俺は夢幻ダンジョンに入ることにした。
ダンジョンの中は薄暗く濁った空気が漂っている。だが、俺にとっては慣れた雰囲気だ。
「よし、1日10階層を目標に進んでいこうか」
――無事に10階層まで到達した。
ここまでに出会ったモンスターはハイオークやオークジェネラルなど、オークの上位種が出現した。
「ふう、今日はこの辺りで野営でもするか」
野営と言っても、普通の冒険者とはかけ離れたものだ。テーブルと椅子を取り出し、夕食は貴族のパーティーで出てきた食事をアイテムボックスから取り出す。デザートも好きなだけ食べる。
「パイソン、テンソルフロー、ジュピター自動制御。ミニデスナイト、お前も手伝ってくれ」
食後はテンソルフローで自動制御した神刀ジュピター&ミニデスナイトと剣の訓練を行う。
適度に運動した後はお湯を好きなだけ使って身体を洗う。そして、ベッドを取り出すと地面に設置する。
「本当はログハウスを設置したいところだけど、テンソルフローで自動戦闘しながら寝るから家は出さないほうがいいだろう」
テンソルフローは優秀だが、家の壁を壊さないように戦ってくれるか不安が大きい。多分、無理だろうと思っている。
そして最後にアレを地面に置き、火を付けて自分はベッドに入る。
「魔寄せの香もオーケーだな。それじゃ、おやすみ。パイソン、あとはよろしく」
目を閉じると、早速モンスターが襲ってきたらしく、剣戟の音が鳴り響く。そしてモンスターの断末魔が聞こえてくる。
最初の頃はうるさくて眠れなかったが、今はもう慣れてしまった。
『レベルアップ! レベルが4521になりました』
『レベルアップ! レベルが4522になりました』
『レベルアップ! レベルが4523になりました』
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「ふぁ〜……もう朝か」
周囲はモンスターの死体の山となっていた。今はもう見慣れた景色だ。レベルは4671まで上がっていた。
「相変わらずテンソルフローが便利すぎるな。この調子で進んでいこう」
俺は更なるレベルアップと夢幻ダンジョン攻略を目指して進み続けた。
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