019 魔導ダンジョンでレベル上げ
「ファイアーボール!」
ドドォーンッ!
俺は今、魔導ダンジョンの3階層に来ている。リタはルイーズ魔法女学園に入学し勉学に励んでいるようだ。この階層は冒険者ギルドから貰った攻略情報のおかげで敵の物理攻撃耐性が非常に高いことが分かっている。今のところ敵として現れたのはグリーンスライムとレッドスライムだ。
ちなみに先程撃ったファイアーボールは5発目だ。燃えカスとなったグリーンスライムの残骸が見える。
「……ったく、このダンジョンはスライムばかり出てくるな」
俺は四天王のスライの事を嫌でも思い出してイライラしてしまう。こうなったら気晴らしに爽快感のある倒し方を試してみよう。
「パイソン」
出現したパイソンの書に呪文を書き込む。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
class Fireball:
type1 = '火の球'
action1 = '飛翔'
action2 = '爆発'
def shot(self):
print(self.type1 + 'が' + self.action1 + 'し' + self.action2 + 'する')
for count in range(5):
fireball = Fireball()
fireball.shot()
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これでファイアーボールが5連射されるはずだ。
「お、ちょうどいいところにレッドスライム! ファイアーボール5連射!」
ドドドドドーンッ!
ファイアーボールが通常ではありえない速度で連射されレッドスライムは跡形もなく消えた。
「これはちょっと楽しいぞ。サクサクっと倒していこう」
サクサクと倒しながら進んでいくと、16階層で新しいスライムが出てきた。その名もストーンスライムだ。攻略情報によるとこいつはサンドショットという魔法を撃ってくるらしい。
「もしかして、こいつの魔法を魔法ボックスで受けたらどうなる? ……実際にやってみたほうが早いな」
俺はストーンスライムの前に姿を現して、魔法を撃ってくるのを待ち構えた。ストーンスライムの周辺に砂の塊が生成されていく。
匕ュンッ!
砂の塊はこちらに向かって撃ち出された。
「魔法ボックス!」
タイミングよく魔法ボックスを開き、サンドショットを受け止めた。
「アイスボール5連射!」
すぐにストーンスライムを討伐し、魔法ボックスの中身を確認する。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・ファイアーボール
・アイスアロー
・アイスボール
・ファイアーアロー
・サンドショット
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
よし! ちゃんとサンドショットを記録することが出来たようだ。
「敵の魔法も記録できるなら積極的に記録していくべきだな」
敵に魔法を撃たせて魔法ボックスで受けるという方法は極限の集中力と大きなリスクを伴うが、それに見合うだけの報酬が得られる。
「ファイアーボール5連射!」
『レベルアップ! レベルが411になりました』
「アイスボール5連射!」
『レベルアップ! レベルが412になりました』
「サンドボール5連射!」
『レベルアップ! レベルが413になりました』
サクサクとレベルが上がって楽しい。そして魔法を連射するのも爽快感がある。更に良いことを発見した。
「お! 知性の基礎値が上がってる! もしかして魔法を撃てば撃つほど知性が上がるのか?」
このダンジョンはレベルアップと知性の基礎値上げにちょうど良さそうだ。そんなことを考えながら進んでいると後ろから走ってくる足音が近づいてくる。しかも、複数人のようだ。
「邪魔だ! 糞が! どきやがれ!」
「殺されたいのか!?」
ドンッ!
口の悪い冒険者2人が俺とすれ違いざまに肩をぶつけてきた。パッと見た印象ではオーク族のような感じだ。
「何だったんだ今の奴ら……ん?」
俺が再度進み始めようとした時、先程の冒険者がやって来た方向から何かが這いずるような音がする。よく目をこらして見てみると、大量のスライムが塊になってこちらに向かってきているようだ。
急いでパイソンの書を開き、呪文を改良する。
「ファイアーボール100連射!」
大量のスライムは連続するファイアーボールの爆発で四散した。
『レベルアップ! レベルが414になりました』
『レベルアップ! レベルが415になりました』
『レベルアップ! レベルが416になりました』
『レベルアップ! レベルが417になりました』
『レベルアップ! レベルが418になりました』
「あいつら、トレインしてたのか!」
トレインとは多数のモンスターを引き回す行為の事だ。モンスターを1箇所に集めて一気に攻撃するほうがMPの消費効率が良い。だが、今のように他人にモンスターをなすりつける可能性が高いので冒険者ギルドでは禁止されているはずだ。
もう一度会ったら注意してやろうと思いながら進み続けたが、奴らに出会うことは無く、俺のレベルと知性が上がっただけであった。
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