第207話 ご飯会ダヨ!!

207話 ご飯会ダヨ!!



「じゃ、えと……マジでお騒がせしました……」


「いえいえ。気をつけて行ってくださいね」


 それから少し時間は経過し、朝ごはんを食べた後、優子さんは送り要因のサキと共にこの家を去っていった。


 随分と騒がしい朝になったが、たまにはこういうのも悪くない。そう思いつつも三人分のお皿を洗っていると、不意にスマホが鳴る。


「……流石にこれ以上騒がしい人はいらないんだけどな」


 鳴ったのはグループLIME。俺とサキ、アカネさんにミーさん、それと夕凪さんの参加しているものだ。


 ここに俺が参加していていいものなのかと思いつつも、なんやかんやで仲間に入れてもらえているのは正直嬉しい。サキをーーーーアヤカを支えていくって決めたしな。


『ご飯会ダヨ! 全員集合!!』


「ご飯……会?」


 あまりに唐突で、それでいて情報量の少ないその文面にはてなマークを浮かべていると。共有機能で何やら飲食店らしき店がピン留めされたマップ情報が送られてくる。


『今夜十九時!! もし直接参加ができない人一人でもいたら予約キャンセルするから! よろシコ!!』


『聞いてませんけど!?』


『ミーちゃんにも言ってないもん♡』


 こ、今夜七時てこれまた急な。しかも即反応してこの反応してるあたり、ミーさんもまじで今初めて聞いたのか。直接言われてないあたり多分一緒にもいないだろうから、仕事先かどこかであたふたしてるんだろうな……。簡単にその様子が浮かぶわ。


 にしても、今日か。俺は用事無いしいけるけど、そう簡単に全員集まるものだろうか。


『私は行けるぞ』


『私も行けます!』


「え、マジか」


 思わず声が出た。


 サキは今日配信も無いしまあ行けるのは分かるとして。夕凪さんまで即答するとは思ってもみなかった。


 彼女は多忙の身だと聞いている。アヤカの専属イラストレーター兼ライトノベルの挿絵なんかも担当していて、その上Vtuberまで。そもそもこの全てを並立して行えているだけでも凄いのに、こんな突発的な予定に参加してくれるのか。


 というか、実は俺は普通に彼女のファンだったりする。アヤカのリスナーな時点で当然といえば当然なのだが、夕凪さんの描くイラストが好きで担当されているラノベを表紙買いしたこともあるしな。


(サインとか……流石にダメか?)


 いや、でもなにがあるか分からないし。一応本は持っていこう。もし貰えそうなら……うん。『和人君へ』って宛名を添えてサインしてほしい。 


 あ、あくまで貰えたら、だけどな? 決して無理強いはしないようにしないと。


『和人君は〜?』


『俺も行けます。サキ一人で行かせたら迷子になりそうですし、連れていきますね』


「わ、私のことなんだと思ってるの!?」


「方向音痴で、けどそんなところも可愛い彼女さんです。おかえり」


「ただいま。……って、私は方向音痴じゃない!!」


 いやいや。それは無理がありますぜサキさんや。あなたに地図任せてちゃんと迷わずに目的地へついたことほとんど無いじゃないですか。夕凪さんの家に向かってる時も俺に電話して助け求めてきたくせにい。


「んもお。まあどうせ和人と一緒に行くつもりだったからいいけどさあ……」




 腑に落ちないのか。ぷくりと頬を膨らませて不満を露わにするサキは、今日も可愛い。

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