第177話 アヤ凪オフコラボ1
177話 アヤ凪オフコラボ1
:この枠何? ゲリラ?
:凪ママのゲリラ配信枠なんて初めてじゃね?
:サムネとかに一切情報ないけど、何するつもりなんだろ。まさか重大発表系か!?
突如始まった夕凪の配信枠。これまでどれだけ遅くとも前日には告知ツイートをしていたはずの彼女が、何故そのようなことをしたのかと。リスナーがざわめき出す。
そんな中。配信はゆるりと始まった。
『あ〜、マイクテスト〜〜。お前らこんにちは、夕凪だぞ〜』
:キチャッ!
:おは凪〜
:おは凪!!
:こん凪〜!!
『いやぁ、事前告知無しにいきなり枠取ってすまんなぁ。ド平日だし仕事で見れねえよ馬鹿野郎ッ! って奴もいるかもだけど、まあアーカイブはいつも通り残しておくから後でゆっくり見てくれ』
『ね、ねぇ……本当に大丈夫なの? こんないきなり……』
:ん? なんか声がするな?
:女の子……?
:そうか、俺たちのママはついに女を連れ込んじまったのか……
:もしもしポリスメーン!!!
:うわぁ( ・∇・)
『ちょ、待てお前ら! 連れ込んだなんて失礼だぞ!! コイツはなぁ……自分から上がり込んできただけだ!! 合意の上! これは合意の上でのあれだから!!!』
『あ、上がっ……て! いや、確かに自分から来たけど、なんか言い方!!』
ゲリラ配信にも関わらず、千人以上も集まったリスナー達によるコメントが高速で流れていく。
そしてその中には、夕凪と共にいる謎の女の正体に気づく者もチラホラ。元々夕凪が家に連れ込んでいても犯罪臭のしない……いや、誰を連れ込んでいても犯罪臭自体は消せないのだが。それよりも問題が無いと言うべきか。それに該当する者は、家族かこの者しか存在していないのだから。
『おっほん。え〜、じゃあ改めまして。ほら、挨拶して』
『え、えっと……どうも。ママの娘の柊アヤカです』
『お前ら、もう察してる奴もいるだろうけど。私の娘ことアヤカは今、私の後ろにいま〜す!! ゲリラオフコラボじゃ〜っ!!』
:アヤ凪キチャァァァァ!!
:これが本当の母娘丼……ってコト!? ¥500
:横じゃなくて後ろ? 妙だな……
『ふっふっふ、お前らが夢見たアヤカのデカパイが今! 私の背中には押し当てられている!! 娘の太もも椅子は最高ダゼェ!!』
『もお、この体勢やだよぉ。ねえやっぱりやめない? 椅子もう一個取ってこようよ』
『ふっ、残念だったな娘よ。この家に椅子はこのゲーミングチェア一つのみ! この体勢が嫌ならお前はもう床に座るしかないぞよ!!』
『ぐなぬ、ママ卑怯だよ……』
『なぁんとでも言えぃ!! くっふふ、まあアヤカがどうしても嫌と言うのなら私はそれでも構わんが? 娘を床に正座させるなんて中々どうして興奮しそうだしなぁ!!』
:どういうプレイだよ……
:てを伸ばせばそこにあるってのか、大秘宝が!!
:揉むなよ、絶対に揉むなよ( ・∇・)
:いいや揉むね!!
:素晴らしい、アヤカ椅子、一家に一台欲しい…… ¥1919
序盤からいつものテンションではっちゃける夕凪と、振り回されるアヤカ。
もはやお家芸とも呼べる母娘漫才に、コメント欄は絶賛の嵐だ。
だが、サキも次第にアヤカとしてのスイッチが入り始めると、臆病で人見知りないつもの姿から豹変。ゲームもレスバも弱い彼女ではあるものの、言い返すという姿勢だけは強く持っていた。
『ふぅ、極楽極楽。さて、ではここで一揉み────』
『やらせないよ? というかアヤカ、気づいちゃった。……こうやって面と向かってなら、私とママ。随分と体格差があるよね』
『……へっ?』
そして気づく。このオフコラボという状況下においてのみ存在する、己のアドバンテージに。
それはズバリ、体格差。アヤカとて決して身体が大きい方では無いし、むしろ身長も含めて平均より少し小さい可能性だってある。
だが、相手が相手だ。ずっと引きこもりを続けて絵だけ描き続けているひょろひょろした身体付きの夕凪に……勝算は無かった。
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