第14話 自動二輪車部

連休も終わり、再び普通に学校が始まったわけだが少し変化があった。

毎日はるなっちが我が家に来るようになったのだ。


「勉強も図書室とかじゃなくて、自分の愛車見ながらできた方がいいじゃない!」


と言っているが、自分用のガレージができたとか思っているに違いない。

なんか買ってきたものを取り付けたり取り外したり、なぜか我が家にAmaz○nの箱が届いていたり。


「家に来たら、親が中身確認するじゃない」


「見つかってもいいやつ買えばいいじゃない」


「カブのカスタムパーツとかだとなんか言われるから面倒なのよ」


このスタイルが、とか言ってた割にはミラーを交換してたりレバーを交換してたりするのでその辺はどうなのか。


「それより、あんたのCBもレバーとか交換したら?」


「それ、江川さんにも言われたけど、面倒だからいい」


「江川さんって、遺産相続とか担当してくれた人でしょう?

なんでそんなに面倒がいいのかしら。あんた狙われてるんじゃ?」


「江川さんの奥さんに、私が料理教えてたりする、夫婦揃ってきてるからそれはないし。狙ってるなら、この家」


「ガレージハウスを奪おうとかしてるの?」


「いや、休日の別荘みたいに使ってる」


「まぁ大人が出入りするのはいいことだからいいけど、悪い人じゃなくて良かったわね」


「ほんと、江川さんがいなかったらわたしこれに乗ってないし」


「それなら、その人のおかげであんたと出会えたということでもあるのね。

そして、こんなガレージハウスごっこを楽しめるとか最高ね」


ガレージとダイニングの間には一応引き戸がついているのだけれど、今の季節はいつも開け放している。

なので、気分転換にバイクを見ながら、いじりながら勉強ができるという環境になっている。


まぁ、成績が上がれば文句は言わないけれど。


そして、バイク通学者は一月に一回、最低参加しろと言われてる

自動二輪部の交通安全講習会が行われることになった。


その日は白バイも来るので、結構みんな楽しみにしてるらしい。


「CB1300ボルドールの白バイ仕様よ!」


「CBってことは、私のバイクの親戚?」


「前に話たビッグワンプロジェクトの後継機よ!」


なんて言いながら白バイの周りを回る女子高生はあまりいないと思うのだけれど。


そこには学校中のバイク通学者が集まるが、全部で20人程度。

400cc越えは私も含めて4人くらい。


緑色のカワサキのニンジャと青と白のスズキのGSX400、青色のヤマハSR400。全部はるなっちに教えてもらったのだけれど。

そして私黒のホンダのCB400スーパーフォア。

あのヤマハのバイクは400に見えないくらいオシャレなんですけど。


乗ってる先輩も、スラッとした綺麗系の女子だ。

400に乗っているのは3人とも先輩で、2年で乗ってるのは私一人らしい。

大体125ccか150ccのスクーターが多いとか。

3輪車の人もいるけど


「あれ何?」


「トリシティっていうヤマハのバイク」


こそっとはるなっちに聞くとすぐ答えが返ってきた。

あれならこけにくそうでいいわ。


そして視聴覚室での講習ビデオを見せられて、

実際に白バイの人から指導を受けながら安全に走行するための実践。


私がヨレヨレしてるのでなんか妙に心配されたのか白バイの人から目をつけられているようで。

ちょっと失敗するとすぐ飛んできて指導されてしまう。


「なんで、私目の敵にされてるのかしら?」


「そうじゃなくて、今月から入ってきた新人だからよ」


とはKTM乗りのヒナミさん。たまたま同じグループで一本橋などをやらされている。

こうやって普通に話してると、ケニーロードの時のように怖くはないのだけれど。


そして、教習が終わるとバイクの品評会になる。

スクーター乗りの人たちは割とさっさと帰るのだけれど、他の系列の人たちは残って人のバイクをチェックしたりするらしい。


「夏休みのバイトでマフラー変えたわ」


とSR400に乗ってる、高藤先輩がそんなこと言ってる。

名前も、講習受けてる時に近くにいたので知ったくらいなのだが、バイクに乗ってる女子ということで妙に距離は近くなる。


「マフラー変えると何かいいことあるんですか?」


と私が聞くと、不思議なものを見るような目をして


「音が良くなる」


とわれ。


「マフラーを変えるのは、いい音聴きながらバイクに乗りたいからよ。

大津さんはそんな気持ちになったことないの」


「今の音で十分うるさいですし。マフラー交換とかは今ひとつよくわかりません」


「まだ乗り始めて1ヶ月くらいなんでしょう?慣れてくると色々と変えたくなっていくもの。

私もこれハンドルバーも交換して低めにしてるし。ゆくゆくはカフェレーサーのような形にしたいとおもっているの」


と言われても、カフェレーサーがなんかよくわからない。


「SRのカフェレーサーカスタム、いいですね!」


と、はるなっち。


名前はかっこいいけど、それ何?と小声で聞くと、後で教えてやると言われ放置される。

カスタム、という単語が気になってしまうが、バイクを改造することは何かいいことあるのだろうか?

はるなっちもミラーとか泥除け、レバーなんかを交換してるけど。


私のバイクで、改造したくなるとことかあるかなぁ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る