柏餅の葉の違い

 あの、葉っぱは。紙の原料になりそうな植物を探して北都近郊の森を彷徨うサシャの横で揺れた枝に付いていた葉に、エプロンの胸ポケットの中で息を吐く。大きめで凸凹のある形は、確か、あの日本海側の町に引っ越した年の端午の節句に父が買ってきた『柏餅』に巻かれていた葉と同じ。トールがそれまでに食べていた、瀬戸内の農家を切り盛りする祖母が作る『柏餅』に使われていた、丸くてつるりとした葉とは全然違っていたから、異世界の『本』に転生してしまった現在でも強く印象に残っている。

 この世界にも、葉っぱで包んだお菓子はあるのだろうか? 森から出たら、尋ねてみよう。辺りを見回すサシャの鼓動を確かめ、トールは小さく息を吐いた。

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