ウェーブを作る
「あの応援、かっこいいな」
向かい側の観客席の人々が作るウェーブに、
「俺達にも、できるかな?」
「動き始めるタイミングを少しずつずらして、あとは全員が同じ速さで上下に身体を動かせば、できる、と、思う」
伊藤を挟んでトールの反対側にいる、休憩する選手達から向かいの観客席へと目を移した
「簡単じゃん」
口の端を上げた伊藤に聞こえないように、小さく唸る。
自分と伊藤、そして小野寺。三人だけのチームでは試合すらおぼつかない。最低八人、何とかしなければ。もう一度、伊藤の影にいる小野寺の横顔を見つめ、トールは小さく頷いた。
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