かつての約束
「約束したよね。僕の宰相になるって」
この国の支配者である『
「したの?」
[した]
おまえが怪我でぶっ倒れていた時に。僅かに俯いてトールを見たサシャの、昔と変わらない瞳の色に、トールは苦笑を押し隠しながら一言だけ答えた。
『祈祷書』であるトールの裏表紙裏に刻まれた、達筆とは言えない文字を意識する。この文字を書いた頃の青年は、まだ幼かった。そしてこの青年は、サシャが生死の境を彷徨っていた時に叫んだ約束を忘れていなかったようだ。
青年の想いに、サシャはどう答えるか? 多分一択。サシャが頷く前に、トールはにやりと口の端を上げた。
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