涙の理由
黒服を纏った人々の中に、見知った影を認める。
「トール?」
優しい声が、耳を打つ。トールを見上げるサシャの、揺れる白い髪に、トールは何とか微笑みを返した。
「戻ろう」
サシャに声を掛け、目の前の幻影を振り払う。次の瞬間、トールはサシャのエプロンの胸ポケットの中に『本』として収まっていた。
古代の遺跡がある場所では、時折、トールの世界とサシャの世界が重なる現象が起こる。今回も、それが起きただけ。納得するために、トールは唇を強く噛み締めた。
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