雨なので

バブみ道日丿宮組

お題:黄金の秋雨 制限時間:15分

雨なので

「いつものやらないと!」

「おっそうだな」

 沈黙。

「雨でお金持ちになりたい」

「黄金でも降ればなれるかもしれないけど、そのときにはだいぶ価値が落ちてるだろうな」

 確かに。

「でも、ロマンあるよね」

 降り注ぐ雨に視線を向けても、楽しみはない。

「金ってあまりいい色合いに見えないから一般化してほしくないな」

「絵の具なんてほんと○ソ色に見えるよね」

 いうなよとドツかれる。

「銀だと身体に悪そうだし、白銀だと目に悪そう」

 結局普通の雨が一番いいということだ。

 二人ため息。

「……バスいつくるんだろう。かれこれ10分は遅れてるよね」

「本数も少ないから次のがきちゃいそう」

 その場合はどうなるんだろうか……まぁ運搬という仕事は変わらないか。

「いっそのことタクシー拾って帰ったほうがいいのかな」

「学生の身分でそれは大それたことじゃないか」

 第一にお金がまず足りるかどうか怪しい。

「小学校の頃やったことあるよ」

「よくお金があったな」

「家にいた親が払ったよ」

 なるほどな。

「たくさん怒られたよ」

「ならやらないほうがいいな」

 今は違うよと、財布の中を見せられた。

 かなりの金額だった……羨ましい。

「バイクの免許とろうかなぁ」

「雨だと危なくね? ていうか雨の日にそんなこと思うのは変じゃない?」

「待ち時間のせいだろうね。よくさ遊園地のアトラクションでさ2時間待ちとかあるでしょ? あれ心理がよくわからないな。そんだけ待って楽しめるのはたった数分」

 はぁとため息が聞こえる。

「それだけ乗りたいってことなんだからいいんじゃない? 別に私たちに関係あることじゃないし」

「一緒に行ってくれないの?」

 どうしたらその思考になれるだろうか。

 でも……。

「そりゃ行くなら一緒にいくけどさ、晴れた日がいいな」

「そうだね。雨の中待つとか馬鹿みたい」

 今の自分たちは馬鹿じゃないのかと疑問が湧いたが頭の片隅に追いやった。

「15分待ちか。歩く?」

 手を差し伸ばされた。

 雨の中、手をつないだまま歩くということだろうか。

 なかなかハードルが高い。晴れの日なら喜んで手をつなぐのだけど……。

「それとも相合い傘してみる?」

 にっこりといい笑顔。

「それはちょっと恥ずかしいかな。私にも羞恥心がある」

「いつも一緒にいるから大丈夫だって。学校で何度も冷やかされてるじゃん」

 それはあれだろう。同性のカップルだから興味津々で見られてるっていう。

「まぁ……素直にここは待とう。そのうち晴れるかもしれないし」

 そうだねと、彼女と二人空を見上げた。

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雨なので バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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