未来のパソコン
バブみ道日丿宮組
お題:イタリア式のパソコン 制限時間:15分
未来のパソコン
人の思考を持ったパソコンはAIと呼べるのだろうか。それとももう1人の人間とでもいうべきなのだろうか。
「……ん、そうだったね」
『そういえばトイレットペーパーがそろそろなくなりそうです』
電子音が作る声は慣れたものだが日常会話をするというのはまだ慣れない。部屋の中すべてを監視され、情報を日夜上書きしてるというのだから最近のパソコンは凄いものだけど……。
「注文しておいてくれる?」
『わかりました』
するとパソコンの画面が通販サイトに切り替わり、私が愛好してるトイレットペーパーがカートへと送られた。
そこで操作は止まり、
『限定商品のトイレットペーパーもありますがどうしますか?』
新たなページを開いた。
パソコンは裏でいろいろと情報を世の中から引き出してるらしく、こうして気になりそうな話題をたまに出してくる。
「トイレットペーパーに限定とかいらないから普通のを頼んでおいて」
『わかりました』
注文が完了したことを告げるメールがスマホに届いた。
本当になくなってるのかトイレにいって戸棚を開くと、残り3ロールしか残ってなかった。
「……」
いったいどこから監視してるのだろうかと、くまなく探してみるがやっぱり見つからない。そもそも壁の中にあるのなら見つかるはずもなく……。
『なにかお探しですか』
「あなたの目をね」
『面白いことをしてますね』
そうなのだろうか?
パソコンがパソコンではなく、意思を持った現代。流行りはどの家庭にも浸透して、1人ということを感じなくなった。
それは孤独死という概念を減らすことに成功してる。
きちんとしたボディを与えれば人間のように身体を動かすらしい。イタリアでは外をパソコンが歩いてるらしい。ほんとかどうかは写真でしかみたことがないのでわからない。
それが当たり前になってる生活じゃ、ニュースに取り上げられることはない。
『あと20分で約束の時間になります』
「そろそろか……、服大丈夫かな?」
『お似合いですよ。流行り物ではありますが色合いを考えてもぴったりです』
ありがとうといって、ベッドに倒れ込む。
買った服にしわがついてしまうかもしれないけど、構わなかった。
どうせ会う人は私を見ない。
見るのは他人のいるパソコンがどれだけ凄いか……ただそれだけだ。
こんな世界で本当に良かったのだろうか。パソコンに人間を譲ったほうがいいのではないか。
そんな思考にまた今日もふける。
未来のパソコン バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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