第180話

八坂神社に着くと、人で溢れかえっていた。女子が多くやはり恋愛成就をしたいと思う人がたくさんいるのだろう。俺は自分が後悔がない決断ができるように祈るが。


「わぁすごいね。さすが八坂神社だね。恋愛スポットとして有名なだけはあるね」


「ここは美の神様もいるらしいな。芸能関係にも得があるといわれているな」


「へぇー美の神様で芸能にもいいんだ。芸能人として成功できるように祈ろうかな」


俺も芸能嗅いでやっていけるように祈るか。確か神社の境内の中にある神社だったよな。まぁとりあえずは八坂神社の本殿にお願いごとをするか。


「行くぞ長濱さん」

 

「うん、それで最初はどこ行くの?」


「本殿だな。ここも一応夫婦仲がいいらしく。仲良く暮らしたいカップルとかがよく来るらしい」


女子が多いが数少ない男は大体彼女がいる。俺もかなえとここに来たかったが、長濱さんとそれなりに仲良くしようと思っているので、友情を深められるようにとお願いしよう。あとは後悔の決断ができるようにと。


参拝客に並び、順番を待っていると、やたらと女子から視線を集めた。羨望のような視線を。

ジャニーズレベルのイケメンでもないのにこんなに視線を集めるのか。そこら辺にいるイケメンレベルなのにな。


やがて順番が回ってくると参拝をして、美人を祭る神社に向かった。ここではあまりしられてないのかならばずに参拝できたが、視線が痛い。美人の神様がこっちを凝視してるんだもん。見とれるほどに綺麗なんだが。さすが美人の神様。


『なんだ妾のことが見えるのか?珍しいのぅ。そして妾の美しさにやられたか』


また話しかけてきたか。俺神様に好かれすぎじゃね。まぁ単純に興味を持っているだけだと思うが。神様なんて普通のやつじゃ見れないし。見えるようにすることも神様ならできるが。


『それで話しかけてどうしました?』


『念話もできるのか。いやなに隣の少女は美しくなりたいだとか売れたいだとか、そなたと結婚したいだとか願っているのに。そなたは芸能界で成功するのとかなえとうまく息ますようにと願っていて対照的だったからな気になったのじゃ』


『まぁ俺は彼女いますし、長濱さんは俺のことが好きらしいので。記憶喪失になる前の俺のアピールが良かったらしいみたいです』


『彼女がいるのじゃな。だが近々彼女は新しくできるかもしれんぞ』


いやこれ以上増えたら不倫だろ。増えたら不味いだろう。かなえがそんなの許すとは思えないし。この感じだと神様が予言したというより勘だな。


『まぁ頭の片隅にいれておいておくのじゃな。芸能界に関しては有名なるように二人とも尽力することにしよう』


『ありがとうございます。そろそろ長濱さんが不思議そうな顔をしてるので、念話を終わりにします』


すると神様は分かったじゃというとスーと境内に消えていった。恐らく天界にでも行ったのだろう。神様は急がしからな。ここにいたのも気まぐれだろう。


「正弘くんすごい願ってたけどそんなに願うことあったの?」

 

「芸能界と小説家として成功するように長く願っていたんだ」


「私は正弘くんと結婚できるように願ったよ」


「いや俺彼女いるだろ」


こてんと首をかしげながら不思議そうにしても可愛いだけで俺の意思は変わらないぞ。しかも付き合う飛び越して結婚んて飛躍しすぎだろ。

芸能人だと結婚をするとダメージもあるんだが。


「あの泥棒猫には渡さないよ。正弘くんの記憶を取り戻させて見せるよ」


どんだけ記憶喪失前の俺は好き好きアピールをしてきたんだか。そんなに俺は良かったのか?主人公補正もないのに。せいぜい優しくするぐらいだぞ。


「その優しさがいいんだよ」


「なに心読んでいるんだよ」


「正弘くんの顔を見れば大体分かるよ」


俺ってそんなに分かりやすい?いや単に長濱さんの勘が鋭いだけだろう。かなえでさえここまでじゃない。すると長濱さんは目の光をなくした。こえーよいきなりなんだよ俺地雷踏んだ?


「今織田さんのこと考えてたでしょ」


なんで分かるんだよもしかして超能力者かなにかなのかよ。後ハイライト仕事してくれ。そんな無理表情のハイライトオフでジーと見られても怖いから。ヤンデレが少しのことで最近起こるようになった。


「まぁ考えてたが、長濱さんはなんでそんなに怒っているんだ?」


「あの泥棒猫を愛おしそうにするからだよ。記憶喪失じゃなければその役目は私なのに。いやでもキスしたのがそもそもの間違いだったんだよね。あの時すぐに離していれば」


すると目に光を宿し、しゅんとした顔になった。キスか、確かにそれでショックを受けて記憶喪失なった可能性はある。だが過去の話だ。今はかなえと付き合っているそれが現実だ。だから今の俺は気にしてないと思ったが、あのキスシーンを思い出して心がギスギスする。やっぱり俺はまだ気にしてるのか?それはかなえに失礼なんじゃないだろうか?


「まぁ過ぎたことを気にしても仕方ないだろう。記憶は今日戻るらしいし」


痛いのは嫌だが。多分牧村当たりに何かされるんだろうなぁー。それかヤクザに撃たれるか。どのみちいたい思いをすることになりそうだ。俺ははぁーとため息を吐きながら神社から離れてお守りでも買うかと、巫女さんがいる場所に向かった。










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