第149話

「うーんなにか買おうかな~」


るんの推しメンタオルを見ながら雪穂は言った。とりあえずアルバムは進めておくか。これさえ知っていれば曲を何が好きって聞かれても困ることもない。後はDVDとかだろうか。これを見ればライブの雰囲気を味わえる。


「アルバムとDVDはおすすめだぞ。後は推しメンタオルはファンな必至だな。生写真はまぁ好きなものを買えばいいと思う」


さっきから色々教えて近づこうとするやからがいるので、警戒しながら伝えたいことは伝えた。アイドルファンだからナンパがうまくいくと思うなよ。どさくさに紛れて連絡先もげっとするのは厳しいぞ。俺でもナンパは無理だ。


「分かった~一通り買うね~」


そういうと店員さんを呼び、生写真や推しメンタオルを取り出した。そのときに店員ににらまれたような気がするが気のせいか?まぁ店員もアイドルファンが多いからな。


雪穂は会計をして、俺達は坂道ショップを出ると、雪穂の行きたいアニメイトに行くことにした。罰ゲームから始める恋のグッツがどれくらい売れてるか気になるな。アニメ化はすると宣伝されてるが、誰が声優をやるかはまだ決まっていない。オーディションをやるらしいが、ちなみに俺もそれを受けるつもりだ。記憶喪失になる前あたりから養成所に通っている。そこで長濱さんには会わない。クラスのレベルが違うからだ。長濱さんは1つ上のクラスだ。俺の方が先に勉強してたのに下とか長濱さん才能ありすぎだろう。


「アニメイト行く前にゲーセンに行かない~?」


「いいぞなにか取ってほしいものがあるのか?」


「八幡のぬいぐるみがほしいんだ~。なんか正弘くんの目を腐らせたときとにていて親近感が沸くんだよね~」


俺の目は元々は腐っていたが、このままじゃ梨花が残念な兄を持つと思いなんとか治した。ままぁ女子から怖がれていたからちょうど良かったが。まぁぼっちだったたことに変わりはないけどね。


「あの目が好きって変わり者だろう」


「私はあの守ってくれた目がカッコ良く見えたんだよ~」


怖がらないなんて珍しいな。カッコいいか、雪穂のお陰で俺もかっこいいといわれる回数が増えた。髪ってやっぱ大切なんだね。眉毛まで整えてもらったが。今度美容院に行くか、そろそろ髪が伸びてきたし。


「あの目をかっこいいねか、まぁ相手が勝手に怯んでくれただけなんだが」


実際俺は大したことはしてない。ただ単に目を腐れせて、腕をつかんだだけだ。それだけでびびるってそんなにあの目ってやばいの?治しておいて良かったわ。あの目を自由自在に出せるって結構便利だよな。


「常時あの目だといやになるがな。女子には怯えられるし、生気がないと言って面倒な暑苦しい先生に目を付けられるし。友達出来ないし」


いかにも体育会系の先生に気合いが足りないとか言って俺は先生と無理矢理組まされて持ち前の運動神経で公開処刑をされたからな。こっちがボロボロになるまでテニスとかやらされた。この恨みは忘れない。そして数学では理系の女性の先生に分からないから薄目で見てると睨んでいるといわれ泣かれたこともある。どんだけ俺の目って怖いんだよとへこんだな。


「うーん私はやっぱ現実を見てきて、そうなったんだろうなと感じたんだろうなと思うけどね~」


小学生の頃は現実見すぎたのは確かだ。運動神経抜群とイケメンがもてはやされ俺みたいな地味なやつはバカにされた。本を読んでいると根暗だのオタクだの頭がいい振りをしているだの散々言われた。ラノベの何が悪い。世界に誇る日本の文化だぞ。


「そう言ってもらえて嬉しいわ」


「それじゃ~付き合う~?私は過去のことなんて気にしないよ~」


「いや、動画をばらまかれるから遠慮しておく」


実際は少しかなえに惹かれてきているのが理由の1つだ。あいつは脅してきた時はくずかよと思ったが、接してくうちに気遣いができて、ふと見せる笑顔が可愛く。何より俺を裏切ることはないだろうと思ったことだ。


「ふーんまぁそのうち手放すのを待つよ~。そしてアピールもしていくからね~」


雪穂のアピールは過激なんだよな。胸押し付けてくるし、まぁ俺としては役得なんだが。だがなぜか長濱さんの光のない目で何をしてるのと言ってくる。なぜにここで長濱さんが出てくるのか謎だ。記憶喪失になる前の俺はやはり好きだったのか?でもなんでヤンデレ風なんだ?好みがヤンデレなのだろうか。


「かなえの怒っている姿とかみたくないんだが」


「そんなんで嫉妬したら器の小さい女ってことだよ~」


いや好きなやつと仲良くしてたら嫉妬すると思うんだが。雪穂はどんと構えてるタイプなんだろうか?普段怒らない人間が怒ったる怖いからな、できるだけかなえの前では接触を避けよう。


「着いたみたいだぞ」


アニメイトの中に入ると、いろんなグッツが俺たちを出迎える。やっぱいいなアニメイトは。美少女達に囲まれて最高だ。とりあえずグッツがどれくらい売れてるか確かめて見るか。


「雪穂も好きなグッツみてきていいぞ」


「私も行くところは多分同じだから一緒に行こう」


「それじゃ私だけ違うところを見に行きますね」


そう言って梨花は違うグッツコーナに行った。雪穂の目当ては罰ゲームから始まる恋のグッツ目当てか。誰だろうか。希堂のグッツだったら結構嬉しいんだが。そうも思いながらグッツコーナに行った。


12月から毎日投稿します















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