第140話

病院食を食べ終わり本を読んで雪穂を待っていると、とんとんとドアをノックされたのでどうぞと言って来訪者を入れた。そこにいたのは俺の最後の記憶のなかで長濱さんとキスをしてたやつだった。名前は覚えないけど、どこか主人公のような雰囲気をしている。


「やぁ尾関くん見舞えに来たよ」


「なんのようだ。俺はお前なんか知らないぞ」


自分でもなぜか分からないが苛立っているのを感じる。やっぱりなにか長濱さんに特別な思いを抱いていたのだろうか?今はなんにも思ってないけど。


「僕のことを覚えてないというのは限定的な記憶喪失なのは確かなんだね。美海も言っていたよ」


「それで本題はなんだ?見舞えに来ただけじゃないだろう」


「そうだね用件はささっとすますかな。これ以上美海と仲良くしてほしくないんだ。僕は美海を振ったけど、美海と付き合うことにしたんだ。だからこれ以上あんまり関わらないでほしい」


長濱さんは半島にそれを望んでいるのだろうか?だが長濱さんがこいつを好きなのは事実だろう。キスをしてたぐらいだし。それに今の俺は長濱さんにたいして好きという感情はない。それに長濱さんも振られたとはいえ好きだったことに変わりはないはずだ。


「分かった。修学旅行は同じ班だから勘弁してくれよ」


「ふっ尾関が記憶喪失になって助かった。恐らくキスシーンを見てダメージがでかすぎて忘れたのだろう」


「なにか言ったか?」


「いやなんでもないよ。修学旅行の件については僕の班と行動すればいいだろう。だからあまり関わらないでくれ。僕の名前は森田悟志だ」


確かに一緒に行動すれば俺と長濱さんが二人きりで行動することはない。もし仲良くしてても森田の監視があるから途中で邪魔にはいるだろう。周りの女子が何をいうか分からないが。


「それじゃそれをいいに来ただけだから帰らせてもらうよ」


すると病室から森田は出ていった。それにしてもどうやって美海を遠ざけるか。記憶喪失なったてことはきっと長濱さんがキスをしたからだろうそこをつくか。長濱さんとは関わるなと頭で警告されてる気がするし。


「帰ってきたよ~。とうしたのそんなに暗い顔をして~」


そんなに暗い顔をしてるのか。俺にとって長濱さんそれだけでかい存在なのだろうか。だが約束してしまったし遠ざけないとな。人間には決意が必要だ。


「ちょっと色々あってな。それより麻婆豆腐匂いがするだが、それを食べるのか」


「そうだよ~。もしかして食べたかったりする~?病院食だけだと飽きるもんね~」


雪穂はにやにやしながら聞いてくる。何か企んでいるな。だがその企みを考えても何かは分からなかった。こんなに味が薄い病院食を前に俺の大好物を目の前で食べられるとか拷問だろ。

周布と看護婦かさんか入ってきて病院食をテーブルに置いた。


「ふふ今ならなんとあーんするだけで食べれるよ~」

 

くっ恥ずかしいが食べたい。たが間接キスになるがそれは気にしないのか?いや好きなら気にしないか。だがなんで俺みたいやつを好きになったんだろう。最初は一目惚れとか言っていたが、好きではなかったはずだ。性格も好かれるような性格をしていない。謎だ。


「あーんしてもらうわ。味が薄いのばっかしでか叶わん」


「一口だけたからね~。はいあーん」


そう言って既に食べ始めていたスプーンを俺に向けてくる。間接キスは始めてだが、緊張はするな。このくらいなんともない。耳を真っ赤になりながらパクッと麻婆豆腐を食べた。あーこの口の中に広がる辛み最高だわ。


「どう美味しい~?」


「最高だ。やっぱり辛いものは良いな」


「それにしても耳真っ赤だね~。照れてるの~?」


「それは始めての間接キスだからな。照れない方がおかしい」


俺の始めてもらわれちゃった。うんキモいな。これは美少女がやるからこそ可愛く思えるんだよな。俺は恥ずかしさを隠すように病院食を食べる。意外に美味しいな。昼食はさかなとかあってご飯が進む。


「始めてもらっちゃた~。、、、、多分長濱さんともしてるだろうけど長濱さんに関する記憶はないんだろうな~」


最後の方は何を言っているか聞こえなかったが、悪口ではないだろう。悪口だったら夜枕を濡らすわ。後はじめてを強調するな。エロく聞こえるだろうが。しかも俺が口をつけた後のスプーンをか口の中に長く含んでいるし。こっちまで恥ずかしくなる。


やがて互いに食べ終わり、雑談をしていると、雪穂は用事を思い出したらしくじゃぁねと言って帰っていった。今は四時かそろそろ長濱さんがくる時間だな。俺はそう思いながら本を読んでいた。すると数分後にドアかノックをされる。俺はどうぞと言って中に入るように促す。 


「元気正弘くん」


満面の笑みで美海は言った。今からこの笑顔を傷つけることとなると心が痛む。


「ちょっと話があるんだ。真剣な話でな」


すると長濱さんはキョトンとした後俺の顔見て何か大事なことだと思い、椅子に座った。ふぅー落ち着け正弘。きっとすっぱりと別れられるはずだ。なんか彼女と別れるみたいな言い方だな。


「長濵さん俺にもう関わらないでくれ」


すると長濵さんはぽかんとした後目から光を消した。


これから月曜日の昼か夜と木曜日の昼か夜に投稿します。大体が昼ですが、忘れてた場合夜に投稿します読んでくれてありがとうございます


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