第125話

ジュエリーショップを出ると、織田は嬉しそうにしながら俺に指輪を渡した。そんなにペアルックが嬉しいのだろうか。美海とのペアルックをイメージするとにやにやが止まらないくらい嬉しい。


「お金払わなくていいのか?」


「いいわ、私これでも投資をしてるからそれなりにお金を持っているの。後これ今つけてくれないかしら」


「ああ、分かった」


つけてみるとピッタしだった。なんでサイズ分かるんだよちょっと怖いんだが。まぁ寝てる間に測った可能性がありそうだな。美少女で投資でも儲けてるってすごいな。まぁそんなんで好きにはならないけど。


「ふふ、これで心も繋がれば完璧ね」


「んでこの後どうするんだ?帰るのか?」


俺はできれば美海に見つかる前に帰りたい。美海には織田が飽きるまで気づいてほしくないし。折角好意が上がってきてるのにここで彼女居るんだと思われたらおしまいだ。


「プリクラを撮りに行くわよ」


まぁそんな簡単に帰らしてはくれないよな。とうやって織田と別れればいいのだろう?暴力はいけないし、暴言も論外だ。できれば穏便に済ませたい。俺がどれだけ美海を先なのかをアピールするか。


「美海と撮ったから身内以外だと二回目だな」


ここであえて美海の名前を出して俺は織田を見てないということをアピールする。そうすれば付き合っているのに違う女子の名前が出てきたことに怒るだろう。それを続ければ嫌気がさして別れを切り出すだろう。


「分かっているわ。そんなの。ずっと見てきたもの。私で上書きしましょう」


効果がないだと、女子は嫉妬深い生き物じゃないのか。織田は余裕そうな顔をしている。そんなに俺をおとすことに自信があるのか。ずっとみてきたってストカーだったのかよ。全線気づかなかった。ぼっちの時の癖で視線には敏感なはずなんだが。


「そう簡単に上書きはされないが」


「ふふ、まだ正弘くんの始めてはたくさん残っているわ。そのはじめてを私にするわ」


確かにはじめてキスもまだしてないが、これは美海とすると決意したんだ。簡単にしてたまるかよ。ああ、美海に会いたい。だがどう思おうが、織田には関係ないのだろう。織田は落とせると自信を持っているからだ。


「私と付き合ったんだししたの名前で呼んでくれないかしら?」


これで呼ばないと言ったら問答無用にあの動画をばらされるだろう。


「かなえこれでいいか?」


すると美海の好きな俺も思わず見惚れてしまうほどの笑顔を俺に向けてきた。俺は顔を真っ赤に染めながらそっぽを向く。美海が好きなのにそれ以外の女子に見惚れた自分を隠すために。


「ふふ、私の笑顔にやられたのかしら?この笑顔は正弘くんにしか見せないわ。つまり好きになればこな笑顔を独占できるってことよ。ちなみに私は処女だからついでにはじめてもゲットできるわよ」


こんだけ人がいる前で何を言ってやがる。何人かが俺のことをみて羨ましそうにしている。はじめてだろうが、好きなやつは変わらない。だから公衆の目の前でそんな恥ずかしいこと言うな。


俺は晒された気分になったのでゲーセンに向かって歩き出す。


かなえはフフと微笑みながら俺の後ろをついて行く。相変わらずの余裕ぷりだ。確かに美少女だと思うが、その辺の男と一緒にしてもらっては困る。俺は美海一筋だ。


ゲームセンターに着くと、早速プリクラ機に入った。何回来てもなれないなリア充のか溜まりみたいこの機械。周りは女子ばっかしだし。男から嫉妬じみた視線を感じる。脅迫されて付き合っているだけなんだが。


「フフやっと正弘くんと来れた。カップルモードでやりましょ」


するとお金をいれてカップルモードを押した。


『それではまずは背中から彼氏が抱きつきましょう』


本音をいうと美海とこのモードで撮りたかったが、仕方がない。後ろから抱きつくか。俺は腕を後ろから周した。かなえは嬉しそうな笑顔ををしている。写真慣れしてるみたいだな。後で何を言われるか分かったものじゃないから俺も作り笑顔をした。


『次は彼女が腕に抱きつきましょう』


「ふふ私巨乳なの」


そう言って俺の腕に抱きついて胸を押し当てた。柔らかい。胸の谷間に腕を挟まれている。ヤバイ理性が飛びそう。思わず触りたくなってしまう。背中越しに胸を触れたことはあるが、腕に挟まれるのは初めてだ。マシュマロ並みの柔らかさで俺の顔は今鼻の下を伸ばしてるだろう。美海に申し訳ないが。


『次はほっぺにキスしましょう』


「二回目ね。正弘くんはキスは自分からなんとしてもしないだろうから私がするわ」


そう言うと、ほっぺに柔らかい感触が伝わる。俺は胸がドキドキした。さっきからドキドキされっぱなしだ。写真を撮るまでほっぺにキスをされた。女子の唇ってこんなに柔らかいんだな。


『次は彼女が彼氏の胸元に埋めて彼氏は優しくハグをしましょう』


かなえは俺の胸元に飛び付き、胸板にほっぺをすりすりした。かなえは猫が甘えてるときみたい表情をしている。かなり萌える。男が喜ぶのがなんなのかを知っているみたいだ。正直萌えすぎて思わず撫でてしまいそうになるがここは我慢してハグだけにしよう。


すると写真が撮られ、かなえは満足そうにプリクラ機を出た。こんなんじゃ先が思いやられる。あんなにアプローチされてたら嫌でも意識してしまう。


かなえは落書きコーナに向かったので、俺は外で待っていた。



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