第85話

「じゃーゆっくりしていってね~」


菅井はそう言うと注文を伝達役の男にいいに言った。美海は菅井の足を見てから俺のことを見た。なんで菅井の足を見たんだ?確かかに菅井の足はすべすべしていて健康的な足だが、女子が興味持つとは思えないんだが。


「正弘くんって足が好きなんだね。特に菅井さんの足みたいのが」


なにか勘違いしてるみたいだな。俺の好きな足は美海のような質感があってすべすべしていて太ももが少し太い足が好みだぞ。俺の理想はどれも美海みたいな人だ。まぁルックスの好みはるんだが。


「俺は美海の足も好きだ。肌がきめ細かくて、柔らかそうだし」


「へ、変態」


俺は改めて自分の言った言葉を思い出す。俺はなんてことを言っているんだ。本人を前にして変態と言われても仕方がないな。美海はワンピースをつかんでいる。覗きはしないぞ。足は自然に服からでてるからいいんだからな。


「今のは忘れてくれ」


俺の黒歴史がまたひとつ増えた。中二病発祥してた時ぐらいの恥ずかしさだ。いくら勘違いをしてもらいたくなかったからって、美海の足について語るのは不味かったな。美海じゃなかったらとっくに好感度が落ちていただろう。優しいから変態発言しても今まで通り接してくれるだろうが。


「変態だけど、嬉しくはなかったから忘れないよ。足を誉められたのは初めてだし」


美海は少し頬を染めながら笑顔で言った。喜んでくれたら良かった。俺の黒歴史も無駄じゃなかったんだな。この話の流れでスカートを穿いてくれると嬉しいんだが。さすがにこれは求めすぎか。


「これから正弘くんと出掛けるときミニスカートを穿いてこようか?」


まじで!俺の願いが届いたのか。美海の制服以外のスカートとかめちゃくちゃみたい。ここは興奮してるのをなんとか抑えなければ。また言わなくていいことを言ってしまうかもしれないから。


「ああ頼む」


「うん、可愛いスカートを穿いてくるよ」


「なに~正弘くんはミニスカートが好きなんだ~。ならこのコスプレは興奮するんじゃない~」


するといつのまにか、オムレツと美海の頼んだカレーを持った菅井が来た。俺は改めて菅井の足をみる。太ももがかなりででいて最高です。思わず鼻血を流しそうだ。しかも胸から谷間が見える。どんだけでかいんだよ、Gカップぐらいあるんじゃないか。グラビアでも人気がでそうだ。菅井の胸を注視していると、美海に足を踏まれた。


「なに鼻の下伸ばして胸を見てるの?」


美海は目の光を消しながら言った。ヤンデレの目をしてやがる。菅井は気にもとめず、ニヤニヤしながら屈んで俺に胸が見えるようにする。うっ胸が俺の興奮を誘う。深呼吸をして目を閉じた。そして悟りを開いた坊主みたいに落ち着いた。


「菅井あんまり胸を見せるなよ。俺じゃなかったら襲っていたぞ」


「こんなことやるのは正弘くんぐらいだよ~。それより私の足と胸どうだった?」


「最高だ。特に足は健康的な太さで、太ももが陶器のように白く最高だな。胸も形がよくて大きい理想的な胸と言っても過言じゃないだろう」


すると美海が笑みを消して据わった目で俺をみてきた。怖い、さっきの幽霊よりも恐ろしく感じる。どうやって美海の機嫌を治せるか。とりあえず頭を撫でよう。


俺は椅子を移動させて美海の頭を慈しむように撫でた。すると虚をつかれたのか美海は驚いた顔をした。だがナデナデが気持ちいいのか目を細める。なんとかなったな。でもここまで嫉妬するとは思わなかった。美海は大事な友だちが取られるのが嫌だったんだろう。


「へーこのコスプレは成功みたいだね。後いつまで撫でているの?長濱さんは森田くんが好きなのに」


「確かに悟史くんを好きだよ」


「じゃーなんで嫉妬したのかな~?後無心で頭を撫でるの辞めなよ~正弘くん」


おっと撫でごこちが良かったからついつい長い間撫でていたようだ。にしてもなんで女子ってこんなに髪がさらさらなんだろう。特に美海の髪は梨香の髪に比べてさらさらどが異次元だ。撫でるのにはまりそうなくらい。俺は撫でるのを辞めると、美海あっと切なそうな声を漏らした。もしかしてもっと撫でて欲しかったのか?


「ぶぅー長濱さんだけずるい。私も撫でてよ~」


「とりあえず頼んだ料理を置いてくれ」


テーブルの上に料理を置き、菅井は頭を突き出してきた。撫でろってことか。フローラのいい香りが漂ってくる。女子って同じシャンプーを使っても男と匂いが違うよな。どういう仕組みなんだろう?


俺は菅井の頭をゆっくりと撫でる。すると菅井は気持ち良さそうな顔をして、ほほは緩みきっていて、人様に見せられる顔じゃない。俺の撫ナテナデってそんなに気持ちがいいか。梨香に安心するとはよく言われるけど。


俺は四十秒ぐらい撫でた後周りの視線が痛くなったのでやめた。何人かは俺に親の敵をみるような目をしてくる。まぁ美少女の二人の頭を撫でるという誰もが羨むことをやっているからな。しかもここに来るような奴は癒しを求めてくる人たちだから菅井に接客されたいという人もかなりいるだろう。


「なんか私の時だけやめるの早くない~」


「周りの視線が痛いんだよ。なんで俺だけ特別待遇なんだと感じているんだろう」 


「むぅーそれじゃ仕方ないね~。私は接客だし苦情がくる可能性があるからね~。後私もうあがるから一緒に回ろう?」


「美海それでもいいか?」


「いいよー。別に独占したい訳じゃないから。私は悟史くんが好きだし」


美海は悟史の部分を強調して言った。まるで自分に言い聞かせるように。森田に対する感情は揺らいでいないのだろう。俺はまだまだだなと思った。森田に追い付くにはイベントをこなして好意をあげるしかないと思う。幼馴染みってことは昔から好きだということだろうからな。長年好きでいた人からくら替えをさせるにはかなり難易度が高いが、俺は諦めるつもりはない。












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