第50話

美海さんの家の近くの駐車場に停めると、俺達さここまで時間が遅くなった経緯を話しに行った。ピンポンを押す。4分経って美海さんのお母さんとお手伝いさんが出てきた。


「美海なんでこんなに遅いの!門限過ぎてるわよ」


「お母様落ちついください。これには理由がありまして」


「理由?というよりあなたはたしか尾関家の人ですね」


「そうです。今回遅くなったのは美海さんがナンパをされて警察沙汰になったので事情聴取で時間がかかったんです」


「そうですが、てことは尾関くん助けてくれたのね。またうちの娘を助けてくれてありがとう」 


美海さんのお母さんは優しく微笑んだ。微笑みかたが美海さんに似ているから思わずドキッとしたんだが。さすが親子、そろって俺をドキッとさせるとはやるわ。


「理由はわかりました。今度からはちゃんと連絡するのよ」


「わかったよお母様」


「それではまた後にお礼をさせてもらいます」


「いいですよそんなことしなくても、俺がやりたくてやったことなので」


お礼をもらえるようなことはしていない。今回は俺に害はなかったし。特に問題にもなっていない。


「いいえ、これは大人としてお礼をさせていただきます」


「受けといていいんじゃないか?別に害があるわけではないんだし」


ふむだが、してほしいことなんてとくにないんだよな。美海さん関連ならいくらでもあるが。さすがに美海さんの意思を無視してできないし。あ、そうだ大学卒まで婚約話をなしってことにしてもらおう。さすがに婚約をやめさせることはできないし。


「そうですね、では婚約を大学卒業まで待ってくれませんか?」


すると美海さんのお母さんは目を細めた。怖、

うちの子は家に利点がある人しか認めないってことか。この人腹黒そうだわ。認めてもらうには相当なことをしないといけないな。


「婚約をしないでくださいではなく、延期してくださいですか。分かりましたそれを受けましょう」


「ありがとね、正弘くん」


そんなに目を輝かせて言わないでくれ。罪悪感がすごいから。これは俺が美海さんを振り向かせるためにやっただけだから。いうなればこれは俺の自分勝手な行動だ。感謝される筋合いはない。


「俺のためになることだから言っただけだ。気にするな」


「俺のために?どいうこと?」


ここで思ったことを話すと、俺が好きなことがばれるから言わない。さてそれじゃーなんて返そうか。


「まぁ美海さんのタレント姿が見たいからな」


俺は美海さんのお母さんに聞かれると不味いから、美海さんの耳元で囁いた。すると美海さんは嬉しそうな顔をした。やっぱりまた芸能界に入ることを諦めてないんだな。


「それではこれ以上外にいると宗一朗さんが心配するのでこの辺で終わりにしましょう」


「分かりました。応援してるからな美海さん」 


「ありがとう!」


俺達は駐車場に向かった。美海さんのお母さんの微笑みかたが美海さんにそっくりだった。目が細くなる笑顔は美海さんだけだが。あんなに美人な人はそうそういないだろう。


「それにしても美海ちゃんのお母さん美人だよなー。人妻じゃなきゃナンパしてたんだが」


「したい気持ちも分かるが、絶対にナンパするなよ。俺のためにも」


もしナンパかしてみろ、俺が美海さんに節操なしの子供なんだっと思って俺を避ける可能性があるからな。美海さんとやっと心が近づいてきたのにここで嫌われるとかは嫌だからな。


「分かってるよ。どんだけ俺の信用がないんだよ、、、、」


自分の行動を考えれば分かるだろ。美人がいればとりあえずナンパをしてる。それだけの行動をしてるのに信用する方が無理だろ。大体内面を見なさすぎなんだよ。軽薄だと思われるだろろうが。まぁ相手が嫌がっていたらすぐに退くんだが。


「自分の胸に聞いてみろ」


ガクッと親父は項垂れて運転をし始めた。


「お兄ちゃんよかったね婚約延長して。私としては複雑だけど」


なんで複雑なんだ?もしかして俺のことを好きなのか梨香は。梨香よそんなにブラコンだったんだな。さすが千葉の兄妹。これまで以上に優しくしよう。それにしてもこんなにあっさり認めてくれるとは思わなかった。それだけ森田は落ちないと踏んでいるのか。


「まぁな、だがその前に好かれなきゃいけないから大変だが」


好きな人がいる人を落とすとか大分無理ゲーだよな。しかも相手は主人公だし。俺はどっちかというとヒロインを思っているその他大勢だし。つまり脇役ってことだ。


「それよりお兄ちゃんにもお見合いをしようとする相手がいることがビックリだよ。お父さんどういう人なの?」


「かなりの美人だぞ。しかも性格もいいしな」


確かに菅井は美人だ。性格についてはよく知らないが、これと決めたものは最後までやりと押そうとするな。だから俺を落とそうと思ったらなりふり構わずにやってくるだろう。今回のお見合いもそんな感じだろうし。


「知ってるわ。相手菅井だろ?」


「そうだぞ。知っているのか?」


「ナンパから助けたらなぜか懐かれたんだよ。一目惚れとか言われて」


「まぁ確かにお兄ちゃんの顔は整っていると思うよ。でも一目惚れするほどじゃないと思うんだけど」


俺は顔はよく整っていると、身内には言われる。ジャニーズほどのイケメンじゃないから背が小さくて今までモテたことはない。告白もしたことはあるが、一回も成功してない。


「好みの顔なんだとさ。背はあまり気にしないらしい」


そんなことを話していると家に着いた。






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