第4話

俺は教室入ると長濱さんと別れて、自分の席に座った。何となく席が近いので長濱さんの話を聞いていると、森田と話しているのが聞こえた。


俺はどんな感じて話しているのだろうと気になり顔を上げチラッと長濱さんを見た。


少し辛そうに話している。まぁ昨日の今日だしな。森田はいつも通り笑顔を浮かべている。

俺はその態度をしている森田に少しイラっとした。何で振ったばかりなのに相手の事を考えないで普通の態度で話せるんだ。どんだけ鈍感なんだよ。


俺はこれ以上見てると介入したくなったので、机に伏せて寝ることにした。長濱さんは辛そうだが、偽善心で介入しても好きな人との会話を邪魔されたと思う可能性もある。


俺が寝てると、先生が入ってきたらしい音が聞こえたので顔を上げて背伸びをした。数分だがよく寝れたわ。


「あーそろそろスポーツ際が始まる。どれにするか今日決めておけよ」


先生はそう言うと、眠そうな目をしながら適当に連絡事項を伝えて、教室の外に出た。


すると長濱さんがこっちに笑顔を向けながら話しかけてきた。うん長濱さんの笑顔は心がポカポカする。ちなみに森田は別な女の子としゃべってる。リア充め爆発しろ。


「ねえ、尾関くんはどのスポーツやるの?」


「あー俺はソフトボールだな経験者だし」


これってもしかして長濱さんにいいところを見せられるんじゃね。家に帰ったら久々に素振りをしよう。ガンガン打ちまくって長濱さんに誉めてもらおう。ぐへへかっこいいと言われたわ。


「尾関くんちょっと笑いかたがおかしいよ」


長濱さんがちょっと引いた感じの顔で言った。

やっばつい嬉しすぎて気持ち悪くにやにやしちゃったわ。これは不味いな。梨花に見られたときもドン引きするほど酷いからな。俺が妄想しすると気持ち悪くにやにやしてしまう。さてとりあえずこの状況を打破するために会話をするか。


「キモいのは癖みたいなものだから気にしないでくれ。後もしMVPを取ったら俺と出掛けてくれないか?」


「自信満々なんだね、いいよ尾関くんの好きなところに行こう」 


よっしゃー言質取ったぞ。MVPにとるには優勝しなくてはならないがこのクラスは比較的経験者が多いからその辺は大丈夫だろう。どこに行こうかな。ディズニーもいいが高いからカラオケにするか。後服でも見繕ってもらおう。


「じゃー考えとくわ」


そう言うと、俺は前を向いた。先生は二限目に決めるからなと言って教室を出ていった。てことは今日は国語なしか。国語は色んな物語を知れて好きなんたけどな。まぁ仕方がない担任の教科が潰れるのは。


それから一限目の数学が終わった。もちろん寝たよ。数学は魔術みたいなものだしな。だいたい数学は暗記科目とか言っているけど、どう考えても暗記じゃない。まぁ別に俺は思考力がない訳じゃないんだけど、計算力や式に公式を当てはめて数式を作るのが苦手なのだ。


数学への文句をいうと止まらなくなるので一旦ここでやめよう。さて二限目がきて、どのスポーツに出るかどうか決めるんだが、俺はクラス内での立場は高くない。つまりソフトボールをやりたい人が多いと俺はソフトボールができない。だから俺はまず経験者だということを伝えよう。


「じゃーどのスポーツをやるか決めるからこっちに集まってくれ」


さすが主人公だな、クラスのカーストは実質森田がトップだ。森田は自分は普通とか思ってそうだが。まぁ主人公は美少女を侍らせているのに自分は普通の高校生でと冒頭にいうのがお決まりみたいなものだから普通じゃないのに。


俺は森田のもとに行き、一番最初に俺が経験者なことを伝えた。すると森田は意外そうな顔をしたが、俺の顔ジーと見て嘘じゃないことを確認してきた。


「どうやら嘘はついてないようだな、じゃ一人目は決まりってことで」


無事決まったみたいだ。俺はそれからの話しは適当に聞き流しながら、時間が経つのを待った。やがて話し合いがすぐに終わり俺は自分の席に戻った。


少し経つと長濱さんが帰ってきて、俺が無事にソフトボールに決まったことを言うと、よかったねと言ってきた。


「長濱さんは何にしたんだ?」


「私はバレーにしたよ。ソフトボールがあったらそれにしたんだけどね」


「ソフトボールやっていたのか?」


「うん、中学までやっていたんだー。県大会まで行ったんだよ」


長濱さんってどっちかと言うと文化系の部活に入ってるイメージがあったんだが。にしても県大会か、てことは上手いんだろうな。野球にも興味ある可能性があるな。もしかしたら好きなチームも一緒かもしれない。


「すごいな、俺なんて中学の野球部は予選落ちだよ。野球好きだったりするか?」


「うん、好きだよー。プロ野球だとスターズが好きかな」


俺と同じじゃん。まさか好きなチームまで一緒なんて運命だな。野球をやっていてこれほどよかったと思ったことはない。長濱さんの好きな選手って誰だろう。


「そうか俺と同じだな。誰のファンなんだ?」


「山崎選手かなー」


まぁ山崎選手はツーシムが特徴的でよく活躍してたな。しかもイケメンだし。もしかしてああいう顔がタイプなのか。だとしたら俺は整形をしなくちゃいけないのだろうか。いや、長濱さんは顔で人を選んだりはしないだろう。勘だが。


「山崎選手のツーシムは俺も好きだぞ。あのツーシムは唯一無二の物だしな」


「すごいよねあの球、まるでシンカーのようにすすっと落ちるんだもん。後は山崎ジャンプが好きなんだー」


いいよなあれ、一体感が生まれた感じで。俺も球場に行ったときは毎回楽しみしてる。


「それにしても尾関くんが野球好きだったの意外だったな」


あれか、俺は陰キャのように見えたってことか。客観視してみよう。よく本を読んでいて、スポーツは野球意外では疲れない程度に手を抜いている。後はアニメ好きで、ラノベも読む。

人とはごくたまにしか喋らない。完全に陰キャですね。


「まぁ意外だろうな、俺も親に誘われなきゃやんなかっただろうし」


お小遣いアップさせるから野球やろうってつられたんだっけな確か。あのときはこんなに疲れるスポーツだと思わなかったなー。まぁでもなんだかんだ言って楽しんでいたから中学まではやったんだが。高校でやらなかった理由は強豪校でレギュラーを取れる自信がなかったからだ。弱小なら負けてつまらないからここの学校の野球部にも入らなかった。


「親に進められたんだねー。甲子園とか行ったりしたのかな」


「確か行ったて言ってたな」


「すごいね!甲子園かー憧れるなー」


なんなら俺が今から野球部に入って甲子園を目指すか。長濱さんが応援してくれれば行ける気がする。野球部のメンバーも本気になるだろう。それで尾関くん私のためなありがとう!って言われてキスされたりして。ぐへへ。

おっと気持ち悪い顔になりかけたわ。このまま長濱さんルートを駆け抜けたい。


「まぁ甲子園での応援は憧れるよな」


そんなことを話していると、授業が終わり長濱さんはクラスメイトと話しに行ったので俺は本をだして、読み始めた。


青春ラブコメは間違っているを読んでいるんだがキャラの心情模写が上手くて読みやすい。あっとぼっちとか言っているが知り合いがいる時点でぼっちじゃないだろうと突っ込みたい。だがリア充爆発しろって言うのな納得できるな。

後あいつらリア充はいっつも群れているが一人て行動できないんだろうか。一人になれば色々となにかを思考できて良いと思うんだが。つまり俺みたい一人て行動してるやつは思考力があるってことだ。将来活躍するのは俺みたいな陰キャだぜ。青春して今だけ楽しんでおけ。将来の勝者は俺だ。そんな適当なことを考えながら本を読んでいるとチャイムがなった。俺は本を閉じて、次の授業の準備をした。


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